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11の温泉

2022年11月26日 [ 非線形科学 ]@sanmotegiをフォローする

 以前「日本列島の来歴」の項で、“4つのプレートがせめぎ合い、自然災害が多い日本列島”の生い立ちについて概観したが、災害の多い日本列島は同時に、「温泉」という自然の至物に恵まれた地でもある。ここではまずその泉質について、雑誌『自遊人』の別冊「温泉図鑑」(2016年9月)から、掲示用泉質名を列記したい(「泉質名の見方」60−61ページ)。

1.単純温泉
2.二酸化炭素泉
3.炭酸水素塩泉
4.塩化物泉
5.硫酸塩泉
6.含鉄泉
7.含アルミニウム泉
8.含銅−鉄泉
9.硫黄泉
10.酸性泉
11.放射能泉

実際の泉質名は、昭和53年から主な化学成分を記した「新泉質名」を使うようになった。成分表示は影響力の大きい順番に並べる。例えば「ナトリウム(陽イオン)‐塩化物・炭酸水素塩泉(陰イオン)」のように。一方、温泉の性格は陰イオンの性質によって決まることが多い。そこで掲示用泉質名は、性格の強い陰イオンを表示する。この場合は従って「塩化物泉」となる。ちなみにこの例の旧泉質名は「含重曹−食塩泉」。重曹=炭酸水素ナトリウム。

 ここからは日本温泉協会の「温泉名人」というサイト情報を基に主な泉質をさらにみていこう(こちらのサイトでは掲示用泉質名を10に分類。上記との違いは7.と8.が無く、別に「含よう素泉」がある)。

1.単純温泉
基準:温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満で、湧出時の泉温が25℃以上のもの。このうちph8.5以上のものを「アルカリ性単純温泉」と呼ぶ。
特徴:肌触りが柔らかく、癖がなく肌への刺激が少ないのが特徴。アルカリ性単純温泉は、肌が「すべすべ」する感覚があるのが特徴。
例:岐阜県・下呂温泉、長野県・鹿教湯温泉など。
泉質別適応症(浴用):自律神経不安定症、不眠症、うつ状態。

2.二酸化炭素泉
基準:温泉水1kg中に遊離炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含まれているもの。
特徴:入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感がある。ただし加熱すると炭酸ガスが揮発する場合あり。
例:大分県・長湯温泉、山形県・肘折温泉郷の黄金温泉など。
泉質別適応症(浴用):きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症。

3.炭酸水素塩泉
基準:温泉1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。
特徴:陽イオンの主成分により、ナトリウム‐炭酸水素塩泉、カルシウム‐炭酸水素塩泉、マグネシウム‐炭酸水素塩泉などに分類される。
例:和歌山県・川湯温泉、長野県・小谷温泉など。
泉質別適応症(浴用):きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症。

4.塩化物泉
基準:温泉1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの。
特徴:陽イオンの主成分により、ナトリウム‐塩化物泉、カルシウム‐塩化物泉、マグネシウム‐塩化物泉などに分類される。日本では比較的多い泉質。
例:静岡県・熱海温泉、石川県・片山津温泉など。
泉質別適応症(浴用):きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症。

5.硫酸塩泉
基準:温泉1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの。
特徴:陽イオンの主成分により、ナトリウム‐硫酸塩泉、カルシウム‐硫酸塩泉、マグネシウム‐硫酸塩泉などに分類される。
例:群馬県・法師温泉、静岡県・天城湯ヶ島温泉など。
泉質別適応症(浴用):きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症。

6.含鉄泉
基準:温泉水1kg中に総鉄イオン(鉄IIまたは鉄III)が20mg以上含まれているもの。陰イオンによって炭酸水素型と硫酸塩型に分類される。
例:兵庫県・有馬温泉など。
泉質別適応症(飲用):鉄欠乏性貧血症。

9.硫黄泉
基準:温泉水1kg中に総硫黄が2mg以上含まれているもの。
特徴:硫黄型と硫化水素型に分類され、日本では比較的多い泉質。
例:栃木県・日光湯元温泉、神奈川県・箱根温泉郷の小涌谷温泉など。
泉質別適応症(浴用):アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害が加わる)。

10.酸性泉
基準:温泉水1kg中に水素イオンが1mg以上含まれているもの。
特徴:口すると酸味あり。殺菌効果もある。ヨーロッパ諸国ではほとんど見られない泉質だが、日本では各地で見られる。
例:秋田県・玉川温泉、岩手県・須川温泉など。
泉質別適応症(浴用):アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、糖尿病、表皮化膿症。

11.放射能泉
基準:温泉水1kg中にラドンが8.25マッヘ単位以上含まれているもの。ごく微量の放射能はむしろ人体に良い影響を与えることが実証されている。
例:鳥取県・三朝温泉、山梨県・増冨温泉など。
泉質別適応症(浴用):痛風、関節リウマチ、強直性脊椎炎など。

以上、温泉の各泉質について纏めた。詳細はまだ勉強中だが概要は掴んでいただけると思う。

 尚この項は、自然の物や現象を「数」で綴ったシリーズとして、

3つの石」(10/30/2018)
12の土」(11/19/2018)
10の雲形」(1/21/2019)
20のアミノ酸」(6/30/2019)

に続く5番目となる。それらも併せてお読みいただければ嬉しい。

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posted by 茂木賛 at 13:52 | Permalink | Comment(0) | 非線形科学

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