夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


現場のビジネス英語“damn it!”

2020年05月27日 [ 現場のビジネス英語シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 非常事態宣言が解除されたところで、久しぶりに、外資系の会社に勤めるAさんとアメリカ人のボス・トムに登場願おう。ある日のこと、二人はカスタマー訪問のあと、一緒に電車に乗ることになった。急いでいるのに、エスカレーターでホームへあがると二人の目の前で電車の扉が閉まった。トムはすかさず“Damn it!”と怒ったようにいった。一方のAさんは、「あ〜あ」という感じで照れ笑いをした。するとトムはAさんにむかって、“What’s so funny?”と不審げに尋ねた。Aさんは、これをどう説明したものか考え込んでしまった。

 Aさんはこれ、可笑しいから笑ったわけではない。電車に乗り損ねたことに対するとっさの照れ笑いだ。日本人ならわかる。一方、トムの方も本当に怒ったわけではない。電車に乗り遅れたりしたとき、アメリカ人はとっさによくこういう反応をする。だから、これは文化の違いというべきである。

 このブログでは、複眼主義と称して、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」

という対比を掲げている。とっさの振舞いは反射的なものだが、Aの主格中心とBの環境中心という違いがはや現れるのだろう(念のため、AさんのAと複眼主義A側のAとは無関係)。

 トムが“What’s so funny?”と尋ねたのは、相手のとっさの顔から感情までをも判断しようとしたからだ。しかし、『情動はこうしてつくられる』リサ・フェルドマン・バレット著(紀伊國屋書店)によると、とっさの顔からダイレクトに感情の判断はできない。感情に基づく表情は大脳新皮質の運動野が作り出す。複眼主義では、日本語的発想に特徴的な感性の強い影響下にある思考も「身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き」に含めているが、「現場のビジネス英語“mind & sensory”」でみたように、本来、喜怒哀楽といった感情は大脳新皮質で認識する思考の相である。とっさの顔からわかるのは、痛いとか身体的な快・不快、やる気といった感性レベルのことまでだ。Aさん、その場は「可笑しいから笑ったわけではありません」とでも云っておけばよい。表情と感情のはたらき、文化の違いなどについては別の機会にゆっくり説明するのがよかろう。
 
 どの社会にも、トムのようにとっさの顔から相手の感情を判断しようとする人は多い。だから処世術的には、いつも朗らかな顔でいた方が人から好かれる。よく怒ったような顔をして街を歩いている人がいる。多くの場合、そういう人は歩きながら何か難しいことを考えているのであって、怒っているわけではない。だからそういう真面目な人に道でも訊けば急に笑顔になって教えてくれる筈だ。

 さて、Aさんとトムのとっさの顔の違い、ここでは簡単に「文化の違い」と記したけれど、この違いを深く追及すると、「内因性の賦活 II」で指摘した、

(引用開始)

1.脳の個性

LGSの基本構造は熱対流によって作られるから、その機能は人によって特有の精度分布を持つ。人の才能や性格はそのバリエーションによる要素が強い。一方、学習はニューロン・ネットワークが担っている。言語や利き腕による脳の活性化領域の違い、LGS機能の習熟効果、奇形などによって、どのような脳の個性(多様性)が人に生じるのか。

(引用終了)

という話になる。Aさんも、この辺りをトムと情報共有できれば“What’s so funny?”といった質問は受けずに済むだろう。面白い文化談議に発展するかもしれない。

 言語については、カテゴリ<言葉について>において様々論じてきた。

「日本語について」
「脳における自他認識と言語処理」
「身体運動意味論について」
「メタファーについて」
「心と脳と社会の関係」
「容器の比喩と義人の比喩」
「容器の比喩と義人の比喩 II」
「存在としてのbeについて」
「母音言語と自他認識」

などなど。興味のある方はお読みいただきたい。とくに日本語的発想と英語的発想の違いについては、母音言語(日本語)と子音言語(英語)の違いに注目すべきである。

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免疫について III

2020年05月13日 [ 非線形科学 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「免疫について II」の項で、MHC拘束性について触れたが、「免疫について」の項で紹介した『これだけで病気にならない』西原克成著(祥伝社新書)には、MHCの本来の役割は老化した細胞を見分けること、とある。

(引用開始)

 MHCは移植免疫で発見されたので、自己・非自己を見分けるためのものだと思われていますが、実は、この見分けがMHCのメインの仕事ではありません。白血球が自己・非自己を見分けるのはあくまでもついでの仕事です。MHCの本来の仕事は、細胞膜のほころびによって老化した細胞を見分けることなのです。
白血球は、老化した細胞を見つけると細胞膜を破って消化し、老廃物と再利用できる物質とに分けます。再利用できる物質は、細胞のリニューアル(再生)に用いられます。老化した組織の細胞と接して未分化細胞が待機しており、これが次々に新しい細胞になります。

(引用終了)
<同書 42−43ページ>

この考え方は、西原氏の「重力進化学」に詳しい。MHC発生は、三億年以上前に海から陸に上がった生物における十二の変化の内の一つだという。

 老化した細胞のMHC(クラスI分子)は変性するので、自然免疫のNK細胞はそれを見つけて消化する。NK細胞は、老化した細胞だけでなく、がん化した細胞やウィルスに感染した細胞に対しても作動する。MHC拘束性は獲得免疫の話で、自然免疫系はどんな異物に対しても働く。しかし完全ではないので、そのあとより複雑な獲得免疫が作動するわけだ。

 最近アレルギーや自己免疫疾患が増えている。生物はゆっくり進化するから、昨今の急激な環境、生活や食の変化に、人の免疫、特に獲得免疫系が付いて来られず過剰反応してしまうのだろう。これも一種の自然破壊(体内環境破壊)だと思う。新型コロナウィルスに対する抗体づくりも獲得免疫の働きだが、その前に、基礎的な抵抗力として、自然免疫を高めておくことはやはり大切だ。

 一方、「免疫について II」の項で引用した『笑う免疫学』藤田紘一郎著(ちくまプリマ―新書)には、MHCの型は個人差が大きいがそれは共生の手段だ、とある。尚、ヒトではMHCはHLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)と呼ばれる。

(引用開始)

 たとえば、細胞がウィルスに感染したとします。ある人のHLA分子はそのウィルスを上手に提示できなかったため、Tリンパ球による攻撃がされずにウィルスが増殖してしまいました。しかし、またある人は同様のウィルスに感染しましたが、HLAの型が違うため、上手にHLA分子が異物を提示出来て、Tリンパ球の攻撃でやっつけることができました。
 つまり、人ごとにHLAの型を変えておけば、多種多様な異物があっても、これらを排除できるHLAを持っている人が生き延びて、人類を絶滅の危機から救うことができるというわけです。もしみんなが同じHLA型で個人差がないとすれば、ある驚異の異物が感染したりすると、あっという間に人類は全滅してしまうでしょう。
 このように、私たちは個人差のある免疫能力を持って病気に立ち向かい、人間という種を存続させています。これは、自分は他人のために、他者は自分のために生きているという意味で「共生」であるとも言えるでしょう。

(引用終了)
<同書 167−168ページ>

今回の新型コロナウィルスの場合も、すぐ治る人と重症化する人の違いは、一部、HLAの型にあるのだろうか。

 藤田氏の考え方は、氏の「共生の思想」の延長線上にある。「自分は他人のために、他者は自分のために生きている」という免疫の役割は、このブログの<生産と消費論>における社会のあり方と一致する。

 「重力進化学」も「共生の思想」の考え方も、私の免疫に関する興味、

(1) 健康管理
(2) 脳科学との関係
(3) 社会科学への適応

においては、(1)を超えて(2)や(3)の領域に入る。どちらも免疫というシステムの奥深さを示していると思う。さらにいろいろと考えたい。

 (1)に戻ると、「免疫について II」の最後に記した「免疫力をつける」とは具体的にどういうことなのか整理しておきたい。それは、生活リズム、食事、ストレスなどに気を配ることによって、

〇 自然免疫と獲得免疫
〇 ヘルパーT細胞のTh1とTh2
〇 腸内細菌(善玉菌と悪玉菌)

の体内バランスを崩さないこと。このブログ<非線形科学>カテゴリでも、発酵食品、自律神経、笑いの効用、活性酸素、食品添加物などについて記しているので参考にしていただきたい。

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posted by 茂木賛 at 09:05 | Permalink | Comment(0) | 非線形科学

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