夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


新しい統治思想の枠組み

2019年09月13日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 二か月程前に「新しい統治正当性」を書いて以来、『百花深処』の方で、

天道思想について II
渋沢栄一と天道思想
武士の再興 II
渋沢栄一と福沢諭吉
渋沢・福沢の統治思想(仮想)

と、日本近代におけるあらまほしき統治理論の枠組みを探ってきた。最新の<渋沢・福沢の統治思想(仮想)>の項では、

<渋沢・福沢の統治思想(仮想)>
「対象」:日本国
「至高」:自然
「教義」:論語+西洋合理思想
「信仰」:教義を守る
「特徴」:政治による集団救済。代議制民主政体。因果律。

と記し、

(引用開始)

 さて、これで日本は20世紀を乗り越え、実り多い21世紀を迎えられただろうかというと、そうはならなかったと思う。「教義」が論語+西洋合理思想だけでは、日本の統治は、官僚たちに牛耳られていたに違いない。儒教の聖人政治はそのままでは漢字文化=律令体制の確立に傾斜するし、『夜間飛行』「“モノ”余りの時代」で述べたように、西洋合理思想においては、自然権派はその後過激な人権派に敗れ、やがて人権派は官僚たちに敗れるからだ。実り多い未来に向けて、そうならないような「教義」の深化が必要である。

(引用終了)

というところまで考えを進めた。

 一方このブログでは、「フィードバック効果」の項で、フィードバック効果が働く「非線形現象」とそうでない「線形現象」とを比較し、複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
A、a系:デジタル回路思考
世界をモノ(凍結した時空)の集積体としてみる(線形科学)

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」
B 女性性=「時間原理」「関係原理」
B、b系:アナログ回路思考
世界をコト(動きのある時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)

において、これからの列島統治はB系の思考を活用すべき、というロジックを提出した。国家統治は体系的なA系思考がメインだとしても、これからはモノコト・シフト(モノからコトへのパラダイム・シフト)の時代でもあり、B系思考の活用が重要になる筈だからだ。

 これら二つ(官僚主義に陥らないための「教義」の深化と、B系思考の活用)から、日本における新しい統治思想として、

<新しい統治思想>
「対象」:日本国
「至高」:自然
「教義」:非線形科学の知見を取り入れたもの(新規起草)
「信仰」:教義を守る
「特徴」:政治による集団救済。代議制民主政体。因果律。

という枠組みが導き出される。明治の先達・渋沢と福沢の肩の上に乗って、そこから21世紀の「教義」を展望した形。

 「至高」が“自然”であってみれば、その「教義」は、論語+西洋合理思想から一歩進んで、「生きた自然に格別の関心を寄せる数理的な科学」である「非線形科学」の知見を取り入れたものがやはり相応しい。20世紀後半に西洋の合理主義的科学から派生してきた、「カオス」、「フラクタル」、「ネットワーク理論」、「パターン形成」、「リズムと同期」など、自然をダイナミックに捉える「非線形科学」。この自然学はまだまだ新たな発見を伴うだろうから、新しいことを嫌う官僚主義には太刀打ちできない。いかがだろう、今後さらに考えを詰めてみたい。

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posted by 茂木賛 at 10:48 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

現場のビジネス英語“out of sight, out of mind”

2019年09月06日 [ 現場のビジネス英語シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 先日ネットで、きれいに整頓された部屋の写真を見た。インテリアの紹介か何かだったから整頓されていて当然なのだが、自分の書斎の乱雑ぶりと比較して、つい“out of sight, out of mind”という言葉を呟(つぶや)いてしまった。

 この言葉、日本語の「去る者は日々に疎し」という格言と似ている。恋人と長く離れていると気持ちも離れてしまう、モノやコトが視界から消えると、やがて思考からも消えてしまう、という警句なのだが、私の場合、書斎で考え事をしているとき、様々な本や書きかけの文章が眼に入るところにあると、それをみて急に思考が展開することがあるから、机の上をあまり片付けたくない。皆さんはどうだろうか。

 複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」

でいえば、この言葉はB側の重要性を説いたものといえる。複眼主義では、AとBのバランスを大切に考える。sight、つまり目から入る情報と、mind、大脳新皮質の働きとの間で、常に「フィードバック効果」が働いている状態が好ましいのである。便宜上分けているがAとBは「人」という一つの時空を形成しているから、生きるプロセスの進行においてフィードバック効果が働いて不思議はない。sightは、他の身体情報に置き換えることもできる。そうするとこれは「アフォーダンス」の話に繋がってくる。

 経営的に考えると、この言葉は、事務所に籠りっきりではあまりいいアイデアはでない、現場を見ないと現実離れした話が多くなる、ということで、頭でっかちな部下に注意を促す警句となるだろう。何事も現場が大切ということで。

 以前「街並みの記憶」の項で、“一度失われた街並みは一朝一夕に再生できない”と書き「自分を確認できる優れた場所や物」の大切さを訴えたことがあるが、これなども“out of sight, out of mind”の実例といえる。

この言葉には、忘れてはいけないことも時が経つと忘れてしまうというネガティブな面がある一方、いやなこともいつかは忘れられる、というポジティブな面もある。物忘れが多いお年寄りなど、日々この言葉と対峙して過ごしておられるのかもしれない。
 
 “If it does not come to your senses, it does not exist in your mind.”という警句もある(いま私が作ったのだが)。複眼主義の対比は、さらに、

A 男性性=「空間重視」「所有原理」
A、a系:デジタル回路思考
世界をモノ(凍結した時空)の集積体としてみる(線形科学)

B 女性性=「時間原理」「関係原理」
B、b系:アナログ回路思考
世界をコト(動きのある時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)

と続く。勿論「どちらかと云うと」ということだが。常にAとBのバランスを考えて日々を送ろう。男であろうと女であろうと、男性性と女性性の両方を持っていることを忘れないように。

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