夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


田沼意次の時代

2018年07月29日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 この間「評伝小説二作」の項で、新井白石と荻生徂徠は反目し合っていたとし、“駄目な組織は、バカが仲良く連(つる)んでいるかリコウが反目しあっているかだというけれど、徳川幕府の衰退(「内的要因と外的要因」)は、すでにこの時期にその萌芽があったのかもしれない。二人が膝を突き合わせて徳川幕府の正当性などを論じてくれていたらその後の列島の歴史も変わっていただろうに”と書いたが、その後の歴史を眺めると、十代将軍家治に仕えた田沼意次(1719−1788)の時代、幕府は力を取り戻す最後のチャンスを手にしていたように思える。

 「内的要因と外的要因」の項で、徳川幕府崩壊の内的理由を、

〔1〕武士のサラリーマン化
〔2〕「家(イエ)」システムの形骸化
〔3〕幕府正当性の理論付けが弱かった
〔4〕鎖国により海外情報や交易が限定的
〔5〕AとBのバランス悪し

としたが、『百花深処』<蘭学について>の項でも書いたように、田沼意次の時代、彼が採った(蝦夷地開発やロシア交易までもを射程に入れようとする)積極的な開明政策により、蘭学の知識を背景とした多彩な思想家が活躍、その結果海外の情報が国内に多く入るようになった。たとえば『解体新書』が刊行されたのは安永三年(1774)、平賀源内がエキテルを完成させたのは同五年(1776)。〔4〕が変われば〔1〕から〔3〕や〔5〕にも変化が生じたかもしれない。〔5〕の「AとB」とは、複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心 
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

を指す。「反転法」の項でみたように、この時代は社会のB側への傾斜が強かった。列島のA側は長く漢文的発想が担っていたが、戦国時代以降、漢文的発想と西洋語的発想とは共存、その後長い時間をかけて漢文的発想は英語的発想に置き換わってゆく。複眼主義では両者のバランスを大切に考える。

 「評伝小説二作」で読みたいと記した『漆の実のみのる国(上)(下)』藤沢周平著(文春文庫)。上杉鷹山(1751−1822)の米沢藩改革を書いた著者の絶筆だが、この本(下)の中に田沼時代への言及があった。武士階級と商人階級との間に一線を引いた八代将軍吉宗の諸政策を記した後、藤沢は次のように書いている。

(引用開始)

 しかしつぎの時代の実力者老中田沼意次は、吉宗がこだわったようには商人階級にへだてをおかなかった。むしろかれらが持つ財力を積極的に政治に利用しようとした。
 意次が九代家重の時代を経て、十代将軍家治治政下の老中として行政的な手腕をふるうようになっても、やったことは吉宗時代の政策の踏襲とみられるものも少なくない。たとえば倹約令の発布、荒地開発、貨幣改鋳といったようなことだが、しかしこれらの政策は、この時代に政策をすすめるためには誰がやってもある程度は同じようなことにならざるを得なかったことであろう。
 だが意次は、吉宗がやらなかったことにも手をつけた。下総国の印旛沼、手賀沼の干拓は、吉宗が手をつけ、財政事情が行きづまって放棄した事業である。意次は行きづまりが幕府の出費でやったがために起こったことを見抜き、これを町人請負の形で再度とり上げた。干拓を請け負ったのは大坂の富商天王寺屋藤八郎、江戸の長谷川新五郎である。
 事業そのものは、このあと天明六年に起きた大洪水による利根川決潰で挫折するけれども、町人の財力を利用した請負い開発は、意次の体面にこだわらない柔軟な行政ぶりを物語るものであったろう。
 また意次の時代に株仲間(株によって同業者の数を制限するためにつくった組合)の公認が急増し、株仲間の公認は商人の利益保護につながる制度であるために、意次と商人たちとの癒着、ひいては収賄がうわさされたけれども、意次は意次で株仲間から上がる運上金、冥加金を、幕府財政をささえる重要な経済政策のひとつとして考えていたのであろう。意次は経済政策にあかるく、政策の実行にあたっては果断なところがあった。
 運上金の吸い上げだけにあきたらず、のちに意次は貸金会所というものまでつくろうとした。全国の寺社、百姓、町人から出資金をつのり、これに幕府の出資金も加えて官制の金貸し機関をつくり、大名に貸し付けようとしたもので、意次が失脚したための日の目を見なかったが、目のつけどころは卓抜で、またきわめて商人的でもある。
 同じく失脚によって実現しなかったが、意次は蝦夷地の大開発とここを足場にした開国貿易を考えていたとも言われ、政権末期にはその調査に着手していた。長崎貿易にも力をいれ、俵物輸出の増加で成功をおさめていただけに、田沼意次の積極的な経済政策は、政権が持続すれば以降のわが国の経済、外交に特筆すべき展開をもたらした可能性がある。
 
(引用終了)
<同書 151−152ページ>

鷹山は地道で堅実だが意次は大胆で山師的だったという評価もある中、藤沢の晩年のこの高評価は興味深い。意次は将軍家治の死とともに失脚、つぎの十一代将軍家斉の治政下、老中松平定信による寛政の改革が始まる。これはしかし意次の政策と違い緊縮財政に偏したものに終わった。

 田沼意次の開明政策によって〔4〕に変化が生じたのに、それが〔1〕から〔3〕、〔5〕に影響を与えなかったのは、変化のボリュームが小さすぎて転移点に達しなかったということなのだろうが、この時代のことをもうすこし微細に研究してみたい。

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自然・食・観光

2018年07月26日 [ 街づくり ]@sanmotegiをフォローする

 前回「人口減少問題と国家理念」の項で、日本の人口減少に対する問題設定として、単にそれに備えようというのではなく、“日本はどのような分野で世界に貢献できるのか、という理念先行型で考えなくてはいけない”と書いたけれど、以前「都市の理念(Mission)」で述べたように、このことは国レベルだけではなく、都市レベルでも同じだ(ここでいう「都市」には町や村も含む)。自分の住む都市はどのような分野で地域・国家・世界に貢献できるのか。自分が暮らす地域のモノやコトをどうやって人々に楽しんでもらうのか、役立ててもらうのか。

 国家の理念が不在の中、都市の理念は形成しづらいところはあるが、以前「早苗饗−SANAEBURI−」の項で紹介した『自遊人』という雑誌2018年8月号は、副題「本当の地方創生、七つの物語」の下、地域活性で先行する、

北川フラムさん/アートディレクター
石村由紀子さん/カフェ&雑貨店「くるみの木」オーナー
深谷宏治さん/「レストランバスク」オーナーシェフ
出原昌直さん/ディスカバーリンクせとうち代表
藤原岳史さん/NOTE代表
山田拓さん/株式会社美ら地球代表
真鍋太一さん/フードハブ・プロジェクト支配人

という7人の活動をインタビュー記事で紹介している。

 それぞれに紹介のキャッチ、理念などを一行で表現したヘッダー、地域活性のポイントがあるので書き留めておきたい。

北川フラムさん/アートディレクター
「地域と共生する芸術祭」
<地方発、地方目線のアートを定着させた第一人者>
〇 開催地へは足繁く通う
〇 都市のアートを持ち込むのではない
〇 「食」というアートの掘り起こし
 
石村由紀子さん/カフェ&雑貨店「くるみの木」オーナー
「ライフスタイルショップ経営」
<「喜びは喜びを生み、経営も回る」が石村流>
〇 喜びを通してファンになってもらう
〇 旅の目的に、思い出となる店づくり
〇 アンテナショップとしての機能

深谷宏治さん/「レストランバスク」オーナーシェフ
「バル街で地域活性」
<正統派バスク料理を受け継いだ、最初の日本人シェフ」
〇 地域のヨコの連携を大切に
〇 ノウハウは常にオープンに
〇 補助金や助成金に頼らない

出原昌直さん/ディスカバーリンクせとうち代表
「雇用を創出する事業展開」
<30年先を見据えた新たな事業展開で雇用を生む>
〇 観光で地域の産業と雇用を守る
〇 地元をよく知ること
〇 20年、30年先を考える

藤原岳史さん/NOTE代表
「古民家・街並み再生」
<歴史的建造物を含めた、街並み再生の支援を>
〇 景観を守るための宿泊業
〇 お客さんと一緒に守っていく姿勢
〇 法律から変えていく努力を

山田拓さん/株式会社美ら地球代表
「着地型インバウンド観光」
<「日本の田舎」をプロデュースするツーリズムビジネス>
〇 ツアー利用者は8割がインバウンド
〇 仕掛けは「普通の景色」
〇 ガイドツアーの満足度を高める

真鍋太一さん/フードハブ・プロジェクト支配人
「農業と食文化の継承」
<地産地消を掲げ、地域で食を循環させる仕組みづくりを>
〇 縦のつながりを重視する
〇 地域内で循環できる仕組み
〇 非日常よりも、日常を大切に

以上だが、詳細は記事を読んで貰うとして、理念としては「自然・食・観光」が共通のキーワードになっている。

 国家理念は、様々な都市の理念を包摂し方向性を与える。それがあると都市間の連携がしやすくなり相乗効果が生まれる。世界からの認知度が高まる。自然と食と観光による地域活性。「国家の理念(Mission)」の項で私が思い浮かべた日本の世界貢献で有力な領域は、

● ものづくりの技(プロセス)を極める
● 日本語的発想による文化や芸術を世界に広める
● 列島の豊かな自然を守り育む
● 水や海に関する最先端技術を開発する
● 身体の働きを生かした医療を探求する
● 各分野で「時間原理」「関係原理」の発展を支える

といったものだったが、元気な7人の記事を読むと方向性は間違っていないようだ。これからもこの線で理念を追ってみよう。

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posted by 茂木賛 at 09:19 | Permalink | Comment(0) | 街づくり

人口減少問題と国家理念

2018年07月22日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 先日新聞の社説(毎日新聞 7/15/2018)で人口減少問題が取り上げられていた。日本はかって経験したことのない勢いで人口が減っていく、日本だけが急激な速度で人口が減っていけば社会はその変化に耐えきれなくなる、何もしなければ危機は確実に深まる、国民皆保険の土台が崩れる、空き家が増える、過疎地の道路や橋は老朽化したまま放置される、大学の倒産が増える、都市の高齢化率が高まる、人口減少はいったんスイッチが入ると止められなくなる、人口減少に対する安倍政権の対策は甘い、などと指摘したうえで、「これから数十年かけて日本に訪れる巨大な変化は、従来の制度や慣習をなぎ倒すほどの威力がある。ただ長期にわたる政策のビジョンと、世代をまたいで持続する社会の強い意志があれば、この変化にも必ず対応できる筈だ。悲観論に閉じこもってはいけない。冷静に、そして覚悟を持って未来に備えるために、人口減少という大波について集中的に考えてみたい」と結ぶ。

 2017年の3月、「国家の理念(Mission)」の項で、国家理念とは「国家がどのような分野で、どのように世界へ貢献しようとするのかを表現した声明文」と書いたが、この新聞の社説は、人口減少にどう対処したよいかを考えようというばかりで、日本がどのように世界へ貢献したら良いかを考えよう、という視点に欠けている。

 私に言わせれば社説の問題設定は間違っている。人口が減れば社会はその変化に耐えられなくなる、だからそれに備えようというのであれば、答えは、出生率を上げるなり移民を増やすなりして「人口減少を食い止める」というだけの話になるではないか。そうではなく、日本はどのような分野で世界に貢献できるのか、という理念先行型で考えなくてはいけないと私は思う。日本はXXの分野で世界に貢献したい、そのために国内人口はどのくらい、国外人口はどのくらい最低限必要だ、という形で考えを進めていけば、おのずとそのための施策が見えてくる筈だ。結果、国内人口数は当面今より少なくて済むかもしれない。尚ここでいう日本とは、日本語を母語とする国民といった意味。

 国民皆保険、空き家増加、インフラの老朽化、大学の倒産、高齢化、東京一極集中などの問題と、人口減少現象とは実は直結しているわけではない。このブログでも論じてきたように、例えば空き家問題は土地政策や家族概念の変化等に起因している。インフラの老朽化は経済成長を経験した世界中どこでも起きている。なんでもかんでも人口減少問題に引き付けて「縮む日本社会」などと総括すべきではないのだ。そこには思考停止が待っている。あとは政府の勝手な移民政策、出産奨励、外国人観光客増加案、シュリンク都市計画、税金値上げなどが施行されるだけだろう。

 世界は日本の人口減少に無条件で協力してくれるほど甘くない。世界にはこれまで滅んだ(言語が消滅した)国は数多い。日本がそのうちの一つとなっても世界は困らないかもしれない。しかし、日本(日本語による発想)がXXの分野で世界に貢献していて、それが他をもって替えられないのであれば、世界は日本の存続に協力してくれるかもしれない。はやくそのXXについて議論しようではないか。

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posted by 茂木賛 at 09:59 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

新しい民泊

2018年07月21日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 先日「民泊新法」の項で、“民泊とは、「住宅の閾(しきい)」を利用して(あるいはちょっと拡張して)行うnon profitな公的活動の筈。一般の営利事業とは違う。それに対して「住宅宿泊事業法」などという仰々しい名前の規制を被せるのはそもそもお門違いではないのか”と書いたけれど、今から3年前、「“コト”のシェアと“サービス”」の項で、

(引用開始)

 このレベルでしかシェア・サービスが語られないのであれば、次に出てくるのは政府による「規制緩和」の話になってしまう。東京オリンピックに向けてどの法律をどう変えて「民泊」を進めるかなどなど。どこまで許可するか、しないか、それが官僚の手の上でもてあそばれるだけだ。

(引用終了)

と書いたことを思い出した。「このレベル」とは、「本来“コト”のシェアは双方向・相互作用である筈なのに、シェア・サービスはまだ業者から顧客への一方向としてしか捉えられていないレベル」という意味。

 3年前の予想通りになったような日本の「民泊」。このままではつまらないから、思考実験として、「新しい民泊」を考えてみたい。まずあなたが「迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主」だとしよう。しかし民泊新法下では営業日数制限や立ち入り検査などの規制が多すぎて事業を続けられない。それならば、いっそのこと宿泊客から金をとらないnon profitな活動に衣替えしたらどうだろう。住宅の閾を貸して訪日客と交流するだけのシンプルな活動。もともと善意の家主なのだから利益は追わない。もらうのはチップだけ。そのかわり宿泊者にはできるだけ近隣商店街で食事や買い物をしてもらう。

 近隣住民の理解、(民法新法を含む既存の宿泊サービスにまつわる法的束縛を受けないことへの)宿泊者の同意、商店街への事前説明などが必要だが、口コミでファンを作ればスタートできる筈。これまで何人もの訪日客と交流してきたのだから。当初は持ち出しになるだろうが、商店街の売り上げが増えれば、店主たちが部屋のメンテナンス費用ぐらい善意で出してくれるかもしれない。

 名前も「民泊」ではなく、街ではやり始めている「オープン・ガーデン(Open Garden)」からヒントを得て、「Open Room for Stay」、略して「ORS」としてはどうだろう。留学生向けホームステイの観光客バージョンと考えても良いかもしれない。

 先日「新しい家族概念」の項で、これからの家族と会社組織の共通点を、

1.家内領域と公共領域の接近→より近い市場での小商い
2.家族構成員相互の理性的関係→社員間のコンセンサス重視
3.価値中心主義→会社理念の共有
4.資質と時間による分業→社員の適材適所
5.家族の自立性の強調→社員の自主性の強調
6.社交の復活→福利厚生の充実
7.非親族への寛容→多様な社員構成
8.大家族→非儲け主義

と符合させだが、自分のところの宿泊者むけに観光案内などの有料サービスを始めてもいいわけで(会社登記もアリ)、「ORS」は家族概念と会社組織の融合を地で行くような事業になるのではないだろうか。

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posted by 茂木賛 at 08:19 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

新曲のことなど

2018年07月08日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 以前「音楽活動その他」の項で、友人(K-Kodama君)と始めたバンド「HUSHBYRD」のサイトのことを書いたが、新曲を載せたので紹介したい。タイトルは「Cry For Me」。サイトをクリックして「News Songs」の一曲目にある(収められたアルバム「STEP BACK」からも辿ることができる)。
 
 男はフランスとスペインの国境で彼女と別れた。気分一新、バイクでピレネー山脈を越えて北へ向かうものの、心の何処かに悲しい気持ちが残っている。導入部のAメロのピアノが悲しみを表現、ロック調のBメロ・Cメロでバイクの疾走感を描く。途中、不思議なギターサウンドが、心に蘇る悲しい気持ちを彩る。最後、Aメロのピアノが走り去る男の後姿にオーバーラップして曲が終わる。後半、バイクをHONDAと歌うのは勿論ビーチボーイズへのオマージュ。歌詞は(古いけど)寺尾聡の「Reflections」の世界に近いかな。コメント大歓迎!

 また、前回紹介した八ヶ岳の自然を謳った「High & Blue」、Music Videoをアップしたのでチェック(トップページ上覧にある「VIDEO」をクリック)してみて戴きたい。

追記:

 「Cry For Me」は、「On The Border」との組曲となっている。「On The Border」(同じくアルバム「STEP BACK」に収録)は、パリの街角で昔の恋人を見かけた男が、別れた当時のことを回想する内容。その別れた場所が「Cry For Me」と同じフランスとスペインの国境の街。「On The Border」の方が先に出来ていて、こちらはK-Kodama君がAl Stewartを聴いていて作ったEuropian Tasteの軽快な曲。「Cry For Me」は「On The Border」のsituationを借りて、身勝手でクールに振舞うくせに寂しがり屋な男を描こうとした。両方の曲に「ピレネー山脈」がキーワードとして使われている。

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posted by 茂木賛 at 16:47 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

民泊新法

2018年07月03日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 新聞を読んでいたら「民泊撤退ビジネス急増」という記事が目に付いた。住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された途端に民泊からの撤退が急増しているという。民泊とは、住宅の空き部屋を宿泊用に貸すこと。新聞記事の冒頭部分を引用しよう。

(引用開始)

 民泊の廃業や縮小で生じた空き部屋を活用したり、家具の処分を手伝ったりするサービスの利用が急増している。15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)で、営業日数や安全設備の規制が厳しくなった。煩雑な手続きやコスト増で民泊の継続を断念するケースが相次ぐ。事業からの円滑な撤退を目指す家主の需要を取り込んでいる。
 「規制でがんじがらめ。迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主まで締め出している」。民泊の廃業を決めた東京都新宿区の男性は憤る。
 新法で営業日数は年間180日までに制限された。自治体によっては独自の上乗せ規制も可能。男性は営業可能日数の大幅減少や任意の立ち入り検査を嫌い、民泊から撤退した。(後略)

(引用終了)
<日経新聞 6/23/2018>

記事はこのあと、部屋を賃貸マンション・貸会議室に模様替えするサービスや、不要になった家具を引き取るビジネスを伝える。

 前回「新しい家族概念」の項で、日本社会の古い仕組みを、

(引用開始)

 一方に「建築自由」、公よりも私を優先する土地所有制度があり、もう一方に「一住宅=一家族」、公と私の境界をはっきりさせ私人には公的領域に手を出させない住宅制度がある。この二つの制度を変えない限り、「私」はますます内に閉じ籠り、「公」はますます官僚支配に覆われる。

(引用終了)

と書いたけれど、民泊新法もこの典型のように見える。

(1)公よりも私を優先する土地所有制度(「建築自由」)があるから、近隣住民とトラブルを起こしても構わないと考える民泊業者が出る。

(2)それを止めるのに、公と私の境界をはっきりさせ私人には公的領域に手を出させない制度(「一住宅=一家族」)からしか法的対応ができないから、外側から様々な規制(民泊新法)を掛ける。

(3)結果、この記事にあるような「迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主」も排除されてしまう。

 このままいくと、「ヤミ民泊」といった言葉が出回り、新しく住宅の空き部屋を宿泊用に貸そうとする私人の参入ハードルは高くなる。その一方、悪知恵の働く業者は規制をかいくぐる様々なノウハウを持っているだろうから、近隣住民とトラブルを起こしても構わないと考える民泊はそう減らないのではないか。

 民泊とは、「住宅の閾(しきい)」を利用して(あるいはちょっと拡張して)行うnon profitな公的活動の筈。一般の営利事業とは違う。それに対して「住宅宿泊事業法」などという仰々しい名前の規制を被せるのはそもそもお門違いではないのか。実際に関わっているわけではないから間違っているかもしれないが。いかがだろう。

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posted by 茂木賛 at 11:30 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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