夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


3つの判断基準

2016年12月28日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 新聞の夕刊に「3つの判断基準」というショート・エッセイがあった。著者は種村均氏(ノリタケカンパニーリミテッド会長)。

(引用開始)

 私は日頃、自分の考えを善悪、正誤、適否という三つの判断基準で吟味している。善悪は人道に反していないかどうかであり、正誤は規範やルールに反していないか、適否はそれが最適な選択肢であるかどうかである。
 善悪の判断を誤ると、一生を台無しにしかねない。自分の人生を振り返ると今でも冷や汗が出る思いをすることがある。致命傷にならなかったのが幸運である。
 人道に反しない行為でも、手順や手続きを誤ると社会や組織に迷惑をかける。必要な届けや許可を受けて行えば褒められることでも、怠れば非難されてしまう。国には法律、社会には規範、会社には規則がある。知らなかったでは済まされない。
 三つめの適否の判断は一口では言い表せない。会社では経営者と社員の適否の判断力を高めるために苦心している。判断に必要な情報の収集と分析、判断の土台となる見識やノウハウの蓄積、判断に影響する将来変化の推定、こうした知識や能力を育てることは組織の維持発展に不可欠である。
 正誤や適否の判断において優れた能力を持ち合わせながら、善悪の判断力に問題があって人生を台無しにする人もいる。社内でも善悪についての教育に一層努力しなければなるまい。

(引用終了)
<東京新聞夕刊「紙つぶて」11/10/2016>

善悪、正誤、適否、いかにも組織の長らしい判断基準といえる。

 私の場合「3つの判断基準」は、以前「三つの宿啞」の項で書いた内容と照らし合わせたものになると思う。つまり、

(1)社会の自由を抑圧する人の過剰な財欲と名声欲
(2)それが作り出すシステムとその自己増幅を担う官僚主義
(3)官僚主義を助長する我々の認知の歪みの放置

という人類の三つの宿啞(治らない病気)からできるだけ遠いところにあることを判断基準にするわけだ。(1)はその判断が「過剰な財欲と名声欲」(greed)から来ていないかどうかであり、種村氏の善悪と重なるかもしれない。(2)はその判断が惰性に流されたものでないか、革新性があるかどうか、(3)はその判断が偏見や思い込みから自由であるかどうか。

 皆さんの「3つの判断基準」はどういうものだろう。種村氏や私のそれと似通ったものだろうか。組織のポジション、年齢や性別によって違ってくるかもしれない。「パーソナリティの分類いろいろ」の項で記した性格の各要素によっても違ってきそうだ。

(1)リアクター:感情・フィーリングを重要視する人。
(2)ワーカホリック:思考・論理、合理性を重要視する人。
(3)パシスター:自分の価値観や信念に基づいて行動する人。
(4)ドリーマー:内省、創造性に生きる静かな人。
(5)プロモーター:行動の人。チャレンジ精神が旺盛。
(6)レベル:反応・ユーモアの人。好きか嫌いかという反応重視。

これは6つのパーソナリティ分類だが、これを眺めると、人によっては快・不快、合理・不合理、信・不信、好き嫌いなどが基準に入ってくるのかもしれない。

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posted by 茂木賛 at 10:21 | Permalink | Comment(0) | 起業論

クラフトビールの研究 III

2016年12月20日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 『究極にうまいクラフトビールを作る』永井隆著(新潮社)という本を読んだ。副題に“キリンビール「異端児」たちの挑戦”とある。本帯裏表紙にある紹介文を引用しよう。

(引用開始)

クラフトビールの聖地「スプリングバレーブルワリー」はこうして代官山に誕生した

大量生産に背を向けた型破りの挑戦は、最悪の業績にあえぐ巨大メーカーの片隅で始まった。個人の嗜好に合わせたビールを、つくったその場で飲んでもらう店を出す!ビールこそ最高の酒と信じる者たちが始めたプロジェクトは、やがて最先端のクラフト専門店として結実する。開店以来超満員の続く店の奇跡を描く最高のビジネス・ノンフィクション。

(引用終了)

私もときどき行くが代官山店は天井が高く気持ちの良い空間だ。

 このブログでは、21世紀の潮流としての「モノコト・シフト」に特徴的な、“「皆と同じ」から「それぞれのこだわり」へ”というトレンドに関して、クラフトビールの流行を追いかけてきた。

ビール経済学
クラフトビールの研究
クラフトビールの研究 II

この本もそういう中の一冊として紹介したい。

(引用開始)

 日本を筆頭に先進国はどこも、少子高齢化が進む。市場はどうしても小さくなっていく。「一番搾り」や「スーパードライ」といったナショナルブランドがなくなることは当分ないだろう。しかし、大量生産を前提としたものづくりは、いずれ限界が来るのではないか。社会のあり方が大量生産とは合わなくなってきているのだから。メーカーは新しい価値に通じるものづくりを創造していくべきだろう。一つの切り口は、「地域」ではないか。ワインやチーズなどの一部は、商品の規模は小さくとも、地域を切り口に人気を博している。バイクにしても、イタリアの中小メーカーはクラフト的なものづくりで生き残っているじゃないか。経済がグローバル化していくほど、個性的なモノが求められるはずだ――。

(引用終了)
<同書 45−46ページ>

和田徹氏(スプリングバレーブルワリー代表)の考えだという。

 この本は、キリンビールという大手が立ち上げたクラフトビールということで、企業内起業プロセスを覗くという面白さもある。企業内起業の成功と失敗については、以前「カーブアウト」、「カーブアウトII」の両項で論じたことがある。「カーブアウト III」では出口戦略について書いた。併せてお読みいただきたい。

 最後に新聞の書評も載せておこう。

(引用開始)

巨大設備で単品製造されるビール。規模をいかす生産が一般的だが、本書はその正反対の小規模、多品種少量に挑戦したキリンビールの異端児たちの奮闘記だ。当然、社内では衝突が起きるが突き詰めればキリンが目指している、うまいビール造りの「あるべき姿」に集約されて、彼らは次第に理解を得る。社内に“よい化学反応”を起こし、組織が活性化していく過程の描写は心地いい。

(引用終了)
<日経新聞 12/4/2016>

 このブログを始めた2007年の暮れ、その初稿「スモールビジネスの時代」の中で、これから産業界を牽引するのは、フレキシブルで判断が早く、地域に密着したスモールビジネスだろうと書いた。9年後の今、それがビール業界でも形となって現れてきたわけだ。頼もしいと思う。開始から9年、このブログもそろそろ役割を終えたようだ。私も次のステージへ進もうと思う。

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posted by 茂木賛 at 11:06 | Permalink | Comment(0) | 起業論

日本の大統領

2016年12月14日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「鳥瞰的な視野の大切さ」の項で、先のアメリカの大統領選挙に触れ、このブログで提唱している複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

を基に、

(引用開始)

トランプ大統領はビジネスライクにA側の仕事をこなしてゆくことだろう。そのとき日本のアメリカとの政治交渉は、B側に偏った日本的発想の政治家たちでは歯が立たない。水戸岡氏のような、A側の大切さが解り尚且つBの重要性に気付いている人が、日本stateに必要となってくるに違いない。

(引用終了)

と書いたが、ここで、日本stateの代表にどのような人が相応しいか考えてみたい。「プライムアーティストしての天皇」の項で紹介した『天皇と憲法』島田裕巳著(朝日新書)でいう「日本の大統領」にどのような人が相応しいのか。

 以前『百花深処』<日本の戦後の父性不在>の項で、日本国の権力者が米軍に従属する道を選んだ理由を、

(1) 環境中心の考え方
(2) 優秀な人材は経済復興に
(3) 認知の歪み
(4) ヤンキー化
(5) 老人の隠居
(6) 国家理念の不在

と纏めたが、父性の復活を果たす(この六項目を一つずつ引っ繰り返してゆく)には、第一に、(1)の環境中心の考え方=B側の発想から脱却し、A側の発想ができる人が必要である。これは議論の余地がないと思う。

 このブログで最近取り上げた、

黒川伊保子さん(「脳と身体 II」)
竹村公太郎氏(「中小水力発電」)
島田裕巳氏(「プライムアーティストしての天皇」)
伊東豊雄氏(「みんなの家 II」)
西原克哉氏(「重力進化学 II」)

の各氏は、水戸岡氏(「物事の繋がりの重要性」)同様、AとBのバランスを心得た有能な人々だろう。

 思考実験として、日本の大統領にいかなる人が相応しいかを、この6名の中で考えてみる。先日「女性による父性代行」の項で、『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』(チャン・ショウチョン監督)という映画を紹介し、

(引用開始)

<日本の戦後の父性不在>の問題は、女性による父性代行によって補われ得る。そのことをこのラストは示唆しているように思えた。

(引用終了)

と書いたが、これをヒントに、私は黒川伊保子さんに注目したい。

 黒川さんは女性だからB側の発想については自家薬籠の中の物。尚且つA側の発想ができる。日本はもともと女性性が強い。外国も日本の強さをそこに見ている筈。とすれば、女性でA側の発想ができる人、そういう人が日本の大統領として一番相応しいのではあるまいか。いかがだろう。

 勿論、実際の大統領には、女性でA側の発想ができる人というだけではなく、それ以外の様々な資質、見識、能力他が求められるから、最適な人がいまの日本に居るかどうかわからないけれど。

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posted by 茂木賛 at 13:53 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

鳥瞰的な視野の大切さ

2016年12月06日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「物事の繋がりの重要性」の項で引用した『電車をデザインする仕事』水戸岡鋭治著(新潮文庫)の文章に、「それ(物事の繋がりの重要性)を理解するには、先ほど述べた鳥瞰という視点が大切です。(中略)鳥瞰的な視野で総合的に物事を進めることができれば、創造的な人間が増えていく土壌が生まれます。それが、バランスの良い社会をつくりだすのです」という部分があった(括弧内引用者)。今回はこの「鳥瞰的な視野の大切さ」について敷衍してみたい。

 まず『電車をデザインする仕事』から「鳥瞰的な視野の大切さ」について書かれた部分を引用しよう。

(引用開始)

 ヨーロッパでは政治によって文化や都市がデザインされるといわれているのですが、それに比べると日本のデザインは非常に表面的で狭いものに限定されます。その意識の違いがデザインの幅の違いに関わってきます。
 この「全体を見渡す」とは鳥瞰(ちょうかん)の視点、つまり広い視野で見る、考えるということです。多角的に大きな観点で全体を見渡すことによって「正しいデザイン」のガイドラインが描けるようになるのです。
 さらに付け加えれば、デザインにおいてこの鳥瞰という言葉のなかには「パブリック・デザイン」という意味があります。このパブリック・デザインの対極にあるのがプライベート・デザインで、自分自身のデザインを自分のやりたいように進めていっても誰からも文句を言われません。ところが、パブリック・デザインとなると公共デザインなので、多くの人が集まって生活をする公共空間を鳥瞰することが必要不可欠になるのです。

(引用終了)
<同書 23−24ページ>

 このブログで提唱している複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

に引き寄せて言えば、「鳥瞰」とは空間重視でありAの視点である。「パブリック・デザイン」もAの視点だ。

 「物事の繋がりの重要性」はB側で、21世紀は世界的にこちら側が強まるだろうというのがモノコト・シフトの見立てだが、複眼主義ではAとBのバランスを大切に考える。日本人(日本語的発想)はもともとBの側に偏っているから、それを知る水戸岡氏は、ここで敢てAの大切さを強調しておられるのだろう。

 ちなみにモノコト・シフトとは、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」の略で、二十世紀の大量生産システムと人の過剰な財欲(greed)による「行き過ぎた資本主義」への反省として、また、科学の還元主義的思考による「モノ信仰」の行き詰まりに対する新しい枠組みとして生まれた、(動きの見えないモノよりも)動きのあるコトを大切にする生き方、考え方への関心の高まりを指す。

モノコト・シフトの研究
モノコト・シフトの研究 II
モノコト・シフトの研究 III
モノコト・シフトの研究 IV

 話は変わるが、ここで、モノコト・シフトの観点から、先の米大統領選挙の結果を説明してみたい。選挙旋風(という「コト」)の一部が、モノコト・シフトでいうBの「イベントへの熱狂」であることは間違いない。動きのある「コト」はBと親和性が強い。その線上でBの女性性を代表するヒラリー氏が選ばれてもおかしくなかったが、(1)ヒラリーが「行き過ぎた資本主義」のインサイダーと見做されたこと(メール問題やクリントン財団など)、(2)アメリカ人(英語的発想)はもともとA側に偏っていること、(3)国民の大半は(熱狂はしても)greedが操るマスコミのプロパガンダに乗らなかったこと、(4)stateの統治はそもそもA側領域の仕事であること、などの理由によって、Aの男性性の代表トランプ氏が選ばれることとなった。

 これからアメリカのB側志向(モノコト・シフト)は、政治を離れてビジネス領域で花開くのではないか。「行き過ぎた資本主義」ではない地方発の起業、「コト」を支えるインフラ整備、スポーツ・イベントやアートビジネスなどなど。一方、トランプ大統領はビジネスライクにA側の仕事をこなしてゆくことだろう。そのとき日本のアメリカとの政治交渉は、B側に偏った日本的発想の政治家たちでは歯が立たない。水戸岡氏のような、A側の大切さが解り尚且つBの重要性に気付いている人が、日本stateに必要となってくるに違いない。

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posted by 茂木賛 at 10:38 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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