夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


一日一ページ読書法

2012年03月27日 [ 読書法シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 今回は、私が最近実践しているおもしろい読書法を紹介しよう。名付けて「一日一ページ読書法」。一ページといっても、話によっては見開き一ページの場合もあるし、場合によっては二〜三ページ程になることもあるから、実際は「一日一話読書法」とでも呼んだ方が良いのだが、分りやすさを考えてこういうネーミングにした。

 この「一日一ページ読書法」、まあ読んで字の如く、ある本を一日に一ページ(一話)読み進むというだけのことなのだが、ここで重要なのは、その読む「タイミング」と読む「テーマ」である。

 まずタイミングであるが、これは朝の食事後など、副交感神経と交感神経が共に高まっているタイミングが宜しい。仕事に出かける前のほんの数分間でよいから、一ページ(一話)をソファなどでリラックスして読む。そういうときに短い文章を読むと、その内容がことのほか深く記憶に刻まれる。望むらくは、その日の一ページを読む前後にそれまで読んできたページをぱらぱらと読み返すと、さらに前日までの記憶が固定される。朝(自宅で)あまり時間が取れない人は、通勤や通学途中の乗り物の中で読むのも良いだろう。

 次にテーマであるが、この読書法に適したものは、主に語学や理系の本である。単語や数式の場合、普通の読み方で本を読んでいると、全体の文脈を追うなかで記憶が薄まり、次第にそれ(単語の意味や数式自体)を忘れてしまうことがある。しかし一日一ページであれば、そのページを画像的に記憶できる。この方法、ややこしい法則や定理の理解などに特に向いている。法則や定理などの場合、基礎から一歩ずつ学ばないと、勘違いしたり間違ったまま覚えたりしてしまうことがあるからだ。できれば、下線を引いたり書き込みをしたりしながら、しっかりと内容を記憶する。

 週末の朝など、時間に余裕があるときのために、以前紹介した「平行読書法」の要領で、複数の本を用意しておくのも善い。テーマが異なっていれば、数冊同時に(一ページずつ)読んでも、あまり記憶がこんがらからない。

 大事なのは、時間が余って先を読みたくなっても、同じ本は(ちょっと覗く位にして)次のページ全部を読まないこと。一日一ページに抑制する方が、却ってその内容がはっきりと頭に残る。また、本の体裁としては、見開きの片方のページに文章、もう片方に図解があるものが特に相応しい。

 一日一ページ(一話)だと、なかなか一冊読み終わらないと思うかもしれない。しかし本一冊200ページとして、一日見開き一ページずつ読み進めば、最速3ヶ月ほど(100日)で一冊読み終わる。内容がきちんと頭に残ることを考えれば、けっして遅すぎるペースはないだろう。

 例を挙げてみよう。たとえば、以前「盤上の自由」の項で紹介した“カガク英語ドリル”(シーエムシー出版)などはこの読書法に最適だった。私は夏休み明けに帰京してからその年の11月までかけて、一日一ページ(見開き一ページ)読書を実践した。理系の本では、最近“流れのふしぎ”(講談社ブルーバックス)という本を一日一話じっくりと読んだ。お陰で、流体の粘性と圧縮性の違い、流体中の個体にはたらく抗力と揚力、流体質量保存の法則、流体エネルギー保存の法則、ベルヌーイの定理、流体曲率の定理などなど、流体力学の基本が復習できた。

 それでも内容を忘れたらどうするか。そのときは「繰り返し読書法」の要領で、同じ本を(一日一ページ)また読み返せば良いのである。長い人生、基礎的な本は何度読み返してもけっして損はしない筈だ。

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場のキュレーション

2012年03月19日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「モノづくりとスモールビジネス」の項で紹介した“石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力”勝見明著(潮出版社)に、「場のキュレーション」という言葉がある。「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」との関連で、今回はこの言葉について掘り下げてみたい。その前に同書より、「モノ」と「コト」の違いを、ビジネスの観点からもう一度確認しておきたい。

(引用開始)

 モノとコトはどう違うのか。それは、そこに人間がかかわっているかどうかです。つまり、コトとはモノとユーザーとの関係性の中で生まれる文脈であり、物語であると言えます。体験と言ってもいいでしょう。その物語や体験に共感するとき、ユーザーは手を伸ばす。だから、テクノロジーの軸だけでなく、人間を中心に置くリベラルアーツの軸が必要なのです。
 モノはそのままでは単なるモノですが、キュレーションを媒介すると新しいコトに転化する。キュレーションとは単なるモノづくりではなく、コトづくりにほかなりません。

(引用終了)
<同書 65ページ>

「リベラルアーツ(liberal arts)」とは、人々を何らかの隷属や制約から解き放ち、より自由に、より豊かな生き方へと導くための見識といった意味で、ここでは、アップルのスティーブ・ジョブズがiPadの発表会で、「アップルは常に、テクノロジーとリベラルアーツの交差点に立とうとしてきました」と述べたことを踏まえている。

 さて、キュレーションとは、

@ 既存の意味を問い直して再定義し
A 要素を選択して絞り込み、結びつけて編集し
B 新しい意味、文脈、価値を生成する

ことであった。それでは「場のキュレーション」において大切なことは何なのだろう。

 勝見氏はまず、ものごとの捉え方には、固定的で静態的なビーイング(being =〜である)と、流動的で動態的なビカミング(becoming =〜になる)の二つの見方があると指摘する。人を見るときにも、「〜である」と捉えると固定的な見方が前面に出され、「〜になる」と捉えると、未来に向かって開かれ、様々なかかわりを通じて変化していくという「人の可能性」が浮かび上がる。

 そこで、「場のキュレーション」にとって大切なのは、顧客をビーイングの存在として見るのではなく、ビカミングの存在としてみることである、と勝見氏は述べる。

(引用開始)

 場のキュレーションは固定的なビーイングではなく、ビカミングでなければならない。
 常に変化し続けるルミネの成功は、空間軸だけでなく、時間軸に沿った場のキュレーションの重要性を示しています。

(引用終了)
<同書 181ページ>

ここでいう「ルミネ」とは、JR東日本の駅ビルのことである。ルミネでは、行く度ごとに売場が変化し新しい情報が発信されているという。

 以前「場所のリノベーション」の項で、建築家隈研吾氏の“建築の設計っていうのは、結局すべて「場所のリノベーション」じゃないかって思うんだよね。”という言葉を紹介したことがある。リノベーションという行為も、対象をビカミングの存在として見ることから始まる。

 隈氏のいう「場所のリノベーション」と、勝見氏のいう「場のキュレーション」とは、「建物」と「売場」という違いはあるけれど、基本的には、

@ 既存の意味を問い直して再定義し
A 要素を選択して絞り込み、結びつけて編集し
B 新しい意味、文脈、価値を生成する

という作業として、同じ地平に立っていると思われる。建築家も、キュレーターの一種族なのである。

 場のキュレーターは、「ハブ(Hub)の役割」とも近接しながら、場を再定義し、編集し、新しい価値を生成する。建築家については、さらに「建築士という仕事」や「建築について」の項なども参照して欲しい。

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posted by 茂木賛 at 09:51 | Permalink | Comment(0) | 起業論

モノづくりとスモールビジネス

2012年03月12日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「これからのモノづくり」の項の最後に、

(引用開始)

これからは「モノづくり」においても、地域に密着した理念あるスモールビジネスの出番なのではないだろうか。

(引用終了)

と書いたけれど、スモールビジネスの出番は、実際の「モノづくり」=「製造」以外に、“モノからコトまで”のリードタイムを短くするための「戦略・企画・デザイン・販売」などにもあると思う。自分でモノを作ることが出来なくても、気に入ったモノの「戦略・企画・デザイン・販売」などをスモールビジネスとして請け負うわけだ。

 尚、このブログでいう「スモールビジネス」とは、フレキシブルで、判断が早く、企業理念が明確な小規模企業を指す。従業員数の目安としては、以前「組織の適正規模」の項に書いたように、社長1人から全員で30人くらいまでを想定しているが、業種によって適正規模があるから、従業員数にはあまり拘らなくても良い。

 「モノづくり」に携わる人は忙しいから、なかなか自分でそれを売り込むことにまで手が回らない場合が多い。だからそういう人のために、前回紹介した“営業部は今日で解散します。”村尾降介著(大和書房)という本に、自社製品の持つ物語(コト)をいかに顧客に伝えるか、というアイデアがいろいろと書かれているわけだが、それでもやはり自社で賄うことが難しい場合、外部から売り込みを支援するスモールビジネスの出番がある。実際、“営業部は今日で解散します。”の著者村尾降介氏ご自身も、中小企業のブランド戦略を手がけるコンサルタント会社、スターブランド社の共同経営者である。

 そういった場合参考になるのが、“石ころをダイヤに変える「キュレーション」の力”勝見明著(潮出版社)という本である。新聞の書評を引用しよう。

(引用開始)

 「キュレーション」は美術館や博物館で企画や展示を担当する専門職の「キュレーター」に由来する言葉。著者は、モノや情報が飽和状態になっているビジネスの世界でも、キュレーターのように@既存の意味を問い直して再定義しA要素を選択して絞り込み、結びつけて編集しB新しい意味、文脈、価値を生成する――ことが求められていると説く。
 実例として、米アップルやセブン―イレブンの戦略、ノンアルコールビール「キリンフリー」などの成功例を挙げる。キュレーションは単なるモノづくりだけでなく、作り手と消費者が双方向で新たな価値を「共創」する「コトづくり」であるとの視点に今日性を感じる。

(引用終了)
<朝日新聞 11/13/2011>

著者の勝見氏はこの本の中で、20世紀はモノを通じた一方的な価値の提供の時代であり、21世紀は、コトを育む双方向的な価値の共創の時代になると論じ、キュレーションを通じた新しいコトづくりを提唱しておられる。まさに「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」におけるビジネス書である。

 今の仕事に飽き足らない思いを抱いている人は、この本などを参考にしながら、気に入ったモノの「戦略・企画・デザイン・販売」を請け負うキュレーターとして、スモールビジネスを起業してみてはいかがだろう。そういえば「本の系譜」の項でみた「意思のある本屋」というのも、本(というモノ)のキュレーターとして考えることが出来る。尚、キュレーターの仕事については、以前「アートビジネス」の項でも触れたことがある。併せてお読みいただければ嬉しい。

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posted by 茂木賛 at 10:17 | Permalink | Comment(0) | 起業論

これからのモノづくり

2012年03月06日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 先日「日本のモノづくり」の項で、

(引用開始)

 モノづくりの本質は、絶え間のないProcess Technologyの改善である。以前「日本の生産技術の質が高い理由」の項で、日本語が母音語であることと、それに伴って起こる「自他認識」の希薄性が、「話し手の意識を環境と一体化させる傾向」を生み、それが自然や組織ばかりではなく機械などの無機的環境に対しても働くことを論じたけれど、日本のモノづくりの質の高さは、この「日本語の特質」に由るところが大きいと思う。

 このブログでは、安定成長時代の産業システムとして、多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術の四つを挙げているが、これらの中心に「日本のモノづくり」があるのは間違いないだろう。

(引用終了)

と書いたけれど、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」のなかで、これからの日本のモノづくりはどうあるべきなのだろうか。今回はこのことについて考えてみたい。

 日本のこれからのモノづくりにとって第一に大切なのは、それが、「多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術」という四つの安定成長時代の産業システムに何らかの形で関わっていることであろう。実態として、大量生産・輸送・消費システムによる製造が日本からまったく消えることはありえないだろうし、そうなるべきだと主張しているわけではないが、これからの日本のモノづくりは、安定成長時代の産業システムと親和性を持つ方向にシフトしていくべきだと思う。

 多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術にリンクしたモノは、「コト」を生み出す力が強い。「コト」は必ず地域(固有の時空間)で起こる。多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環の三つは、高度成長時代の大量生産・輸送・消費システムよりも地域密着型だから、「コト」を起こす力がより強いのだ。「“モノからコトまで”のリードタイムが短い」と言い換えても良いかもしれない。また、新技術(や新素材)は、旧技術よりも新しい「コト」を起こす力が強い。小惑星探査機「はやぶさ」が引き起こした新しい「コト」の数々は我々の記憶に新しいところだ。

 日本のこれからのモノづくりにとって第二に必要なのは、できるだけ「コト」が起こりやすいモノづくりを心掛けることであろう。「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」の項の最後に、

(引用開始)

そしてまた、「モノ」であっても、自分が気に入った「モノ」をよくよく観察していれば、やがて、それが作られたときの「時間と空間」が解けて見えてくるかもしれないということでもある。

(引用終了)

と書いたけれど、伝統工芸品や手作り品の良いモノは、それが作られたときの「時間と空間」が後ろに揺曳してみえる。優れたブランド品は、ブランド固有の物語がそのモノの内に秘められている。絵画の傑作は、描かれた光景がいまにも動き出しそうに見える。

 “営業部は今日で解散します。”村尾降介著(大和書房)という本には、自社製品の持つ物語(コト)をいかに顧客に伝えるか、というアイデアの数々が書かれている。「覚えられるネーミング」「写真に取りたくなる仕掛け」「お客さまにビジネスに参加してもらう」「人が覚えられるコピーは15文字以内」「意外な推薦人をつくる」などなど。本のサブタイトルには“「伝える力」のアイデア帳”とある。一読をお勧めしたい。

 以上、これからのモノづくりにとって大切なポイントを纏めると、

A 安定成長時代の産業システムに何らかの形で関わっていること
B できるだけ「コト」が起こりやすいモノづくりを心掛けること

となる。さて、これを踏まえて、改めて「日本のモノづくり」の項で取り上げた“奇跡のモノづくり”江上剛著(幻冬舎)に紹介された8つのモノづくり:

1. 本間ゴルフ・酒田工場(ゴルフクラブ製造)
2. メルシャン・八代工場(焼酎づくり)
3. 山崎研磨工場・燕市(タンブラーなどの研磨)
4. コニカミノルタ・豊川工場(プラネタリウム製造)
5. クレラ・新潟事業所(新素材開発)
6. キッコーマン・野田工場(醤油の国際化)
7. 宮の華・宮古島(琉球泡盛づくり)
8. 波照間製糖・波照間島/シートーヤー・宮古島(黒糖づくり)

を見てみると、どれもAに関わり、Bに対応していることがわかる。これは偶然ではないと思う。そして重要なことは、これらの企業は決して売り上げ規模のみを追求していない。このブログでは、「安定成長時代の産業システムを牽引するのは、フレキシブルで、判断が早く、地域に密着したスモールビジネス」であると主張してきたが、これからは「モノづくり」においても、地域に密着した理念あるスモールビジネスの出番なのではないだろうか。中小規模の「モノづくり」については、「中小製造業」の項も参照していただきたい。

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posted by 茂木賛 at 10:04 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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