夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


政権交代

2009年07月27日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 去年の7月「集団の時間」のなかで、

(引用開始)

 さて、社会問題の多くは、この2種類の時間の混同から起こる。たとえば政治と宗教。政治は自然(t = ∞)の時間には関与できないし、逆に宗教は都市 (t = interest)の時間に関与すべきではない。なぜなら、政治とは人が作り出したシステムであり、宗教とは人知を超えた自然の力の別名だからだ。前者は効率が重要であり、後者は効率とは無関係だ。それを混同し、ある政治体制が永遠に続くと幻想したり、逆に宗教が人間社会すべてに超越すると妄想したりするのは間違っている。

(引用終了)

と書いたけれど、あれから一年、自公体制から民主党主導による政権交代が近づいている。好ましいことだと思う。これまで日本では自民党による一党支配が長く続いてきたが、「ある政治体制が永遠に続く」というのは幻想に過ぎない。

 このブログの初回「スモールビジネスの時代」のなかで、

(引用開始)

 最近、品質や安全の問題が頻発し、高度成長時代を支えた大量生産・輸送・消費システムが軋みをみせている。大量生産を可能にしたのは、遠くから運ばれる安い原材料と大きな組織だが、多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術といった、安定成長時代の産業システムを牽引するのは、フレキシブルで、判断が早く、地域に密着したスモールビジネスなのではないだろうか。

(引用終了)


と書いたけれど、これからの安定成長時代に求められる政治は、「フレキシブルで、判断が早く、地域に密着した」仕組みをベースにしたものでなければならない。中央集権的な官僚主導の政治は、「高度成長時代を支えた大量生産・輸送・消費システム」には効果があったかもしれないが、これからの社会には相応しくないのである。

 政権に就く新しい政治指導者は、情報を公開し、「多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術といった、安定成長時代の産業システム」を政策の基盤に据え、軸がぶれないように心がけながら、効率の良い国家運営を行なってほしいと思う。

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関連読書法

2009年07月21日 [ 読書法シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 ある本の読書から、その内容に関する興味が派生して、次々と関連した本を読み進めたくなることがある。本の最後に書かれている参考文献などから辿る場合もあるし、本屋の書棚を眺めて関連した本を選ぶ場合もある。

 「並行読書法」のように異なるテーマの本を同時並行的に読み進めるわけでもないし、同じテーマの本を読むのは同じでも、「立体的読書法」のように、

1. Art
2. History
3. Natural Science
4. Social Science
5. Geography

といった5つの分野に拘るわけでもないから、これを新しく「関連読書法」と命名しよう。

 たとえば「並行読書法」で取り上げた“白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って”前田速夫著(河出書房新社)の場合。同書は、柳田國男や折口信夫などの民俗学を手懸りとして、白山信仰や白い神々の系譜を探求したものだが、私の場合、そのから縄文以来の古い神々への興味が派生した。以下、読み進めた関連書籍を、本の帯やカバー裏の紹介文と共に五つほど挙げてみよう。

1.“牛頭天王と蘇民将来伝説 消された異神たち”川村湊著(作品社)

(引用開始)

湮滅された最古の神々

各地に残る「蘇民将来子孫」の伝説。「備後風土記」にも描かれ、千数百年に亘って民衆に支持されてきたこの神々とはいったいどういう神か。土着的でありながら記紀神話とは異質の蕃神性を伴う神格の由来を辿り、日本人の魂の源泉を探る渾身の書き下ろし。

(引用終了)
<同書帯より>

2.“精霊の王”中沢新一著(講談社)

(引用開始)

<魂の原日本>を求めて縄文へと遡る思考の旅………日本という国家が誕生したとき、闇へと埋葬された「石の神」とは?芸能、技術、哲学の創造を司る霊妙な空間の水源をたどる。柳田國男『石神問答』の新たな発展がここにある!宿神の秘密を明かす奇跡の書金春禅竹『明宿集』現代語訳も収録!!

(引用終了)
<同書帯より>

3.“シリウスの都飛鳥 日本古代王権の経済人類学的研究”栗本慎一郎著(たちばな出版)

(引用開始)

蘇我氏は、どこから渡来してきたのか?!シリウスの影響下「聖方位」をもつ前方後円墳の存在や、そこに隠されているゾロアスター教的、ミトラ教的要素によって解明。「われわれはわれわれ自身を誤解してきた!」という、日本人の価値観や宗教観、日本古代王権の起源に迫る、著者渾身の書!

(引用終了)
<同書帯より>

4.“東西/南北考−いくつもの日本へ−”赤坂憲雄著(岩波新書)

(引用開始)

東西から南北へ視点を転換することで多様な日本の姿が浮かび上がる。「ひとつの日本」という歴史認識のほころびを起点に、縄文以来、北海道・東北から奄美・沖縄へと繋がる南北を軸とした「いくつもの日本」の歴史・文化的な重層性をたどる。新たな列島の民族史を切り拓く、気鋭の民俗学者による意欲的な日本文化論。

(引用終了)
<同書カバー裏より>

5.“呪いと祟りの日本古代史”関裕二著(東京書籍)

(引用開始)

ヤマト建国にさいし、なぜ「祟る王」が擁立されたのか。反逆者が築いた稲城、呪具ヒスイの抹殺、稲荷信仰の謎ほか、古代史のキーワード「呪いと祟り」の正体を明らかにする。

(引用終了)
<同書帯より>

 以前「繰り返し読書法」で書いたように、国の正史といわれる書物は、時の為政者の都合で書かれるので偽りも多いだろうから、正史には残されず、闇に葬られた風習、神々の系譜の中にこそ、歴史の真実が隠されている可能性が高い。白い神々、蘇民将来、石の神、聖方位、いくつもの日本、祟る王、などのキーワードから、闇に消えた日本列島の姿が浮かび上がる。

 「社会の力」の内でも、歴史は、そこに暮らす人々の脳神経回路の組織化に根っこのところで多大な影響を与えているはずだ。日本人の脳や言葉の特徴はどのようにして生まれてきたのか、それを探る上でも、これからも歴史の探求を続けていきたい。

 さて、この読書法シリーズ、「並行読書法」、「繰り返し読書法」、「立体的読書法」、「関連読書法」と、なにやらもっともらしく並んだわけが、そもそもこの企画、「読書法」というタイトルに託(かこつけ)て、愛読書を紹介するのが狙いでもあるから、今後さらに違う「読書法」がでてきたら、微笑みながら「ああ、茂木さん今度はこんな本を紹介したいのか」と、こじつけられたタイトルと共に、中身の本の紹介を楽しんでいただければと思う。

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posted by 茂木賛 at 09:26 | Permalink | Comment(0) | 読書法シリーズ

日記をつけるということ

2009年07月14日 [ 言葉について ]@sanmotegiをフォローする

 「シグモイド・カーブ」の中で、「興味の横展開」を自覚するということは、その興味の理由と度合いを頭の中で整理することだと書いたけれど、忘れてならないのは、自分を取り巻く環境や情報量の変化によって、それが時(t = life)とともに変化してゆくということである。

 興味の理由や度合いが変化していくことは悪いことではない。皆さんも、昨日まで気が合う友達だと思っていた相手が急に色あせて見えてきたことがあると思う。人はこの変化を「成長」と呼ぶ。ときにそれは「成長」ではなく「退化」と呼ぶべき場合もあるだろうが、いずれにしても「状態の変化」には違いない。興味の理由や度合いが変化していくことは、人にとって必然的なことである。

 「状態変化」それ自体を時系列に辿れば、自分の成長の軌跡が分かる。生まれた状態の自分が、何からどういう影響を受けて、それがどう蓄積されて(あるいは蓄積されずに)今の自分に至ったのか。それを自覚していれば、自分の強み、弱みを把握することが出来る。なにか大事な決断をしなければならない時、余裕を持って、どうすべきか考えることができる。環境が激変し不安に襲われた時、自分を信じることが出来る。

 状況の変化を時系列に辿るもっとも有効な手立ては、日記(ブログ)をつけることである。私は20年以上前から、簡単な内容(仕事の打合せや旅行、気候、食事、その日買った本や、読み終えた本の内容整理など)ではあるが、日記をつけている。

 昔の日記を読み返すと、当時如何に考えが至らなかったかに赤面することもあれば、既にあの頃こんなことを考えていたのか、と驚くこともある。しかし概ね、その時の自分の興味の理由と度合いとを思い起こすことが出来る。日記をつけるということは、「繰り返し読書法」のなかで、本を繰り返し読むと書かれた内容が短期記憶から長期記憶へと移る、と述べたことに近いのだろう。日記をつけることで、その日の出来事と、自分の興味の理由と度合いとが、長期記憶として脳に残るのだ。

 日記といえば、「立体的読書法」や「庭園について」で触れた永井壮吉(号荷風)が残した「断腸亭日乗」は、日記文学の大作として有名である。“荷風と東京 「断腸亭日乗」私註”川本三郎著(都市出版)から引用しよう。


(引用開始)

 「断腸亭日乗」は大正六年(一九一七年)九月十六日、荷風三十七歳(数えで三十九歳)のときから書き始められ、死の前日の昭和三十四年(一九五九年)四月二十九日まで書き続けられた実に四十二年間に及ぶ日記である。大正六、七年ころは何日か抜けているが、やがて加速がつき、大正九年ころからはほぼ毎日、その後は昭和二十年の東京大空襲のときも、終戦直後の混乱期にも一日も欠かすことなく書き続けられた。(中略)
 先年、私は荷風の遺族(養子、従兄弟の大島一雄・芸名杵屋五叟の子息)で荷風晩年の市川の家に住む永井永光(ひさみつ)氏から、この浄書され、帙に入った「断腸亭日乗」の実物を見る機会に恵まれたが、まず手帖に鉛筆でその日のメモを書いておき、次に万年筆で大型ノートにメモから起こした文章を書く、それに推敲を重ねて、最後に筆で和紙に書く、と実に丁寧に作られたもので、まさに谷崎潤一郎がいうように「そのまゝ版下になる」ように美しいものだった。生活の芸術化とはこのことをいうのだろう。

(引用終了)
<同書10-13ページ>

始めから公開することを前提に書かれているから、自分の為だけの日記とは違うけれど、日付を追って「断腸亭日乗」を読んでいくと、書かれた内容の面白さもさることながら、明治・大正・昭和を生きた永井壮吉という人間の、「興味の理由と度合い」の変遷を知ることが出来る。それによって(永井壮吉の理性と感性を通して)読者は、日本の近代化そのものの本質を窺い知ることができるのだ。

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posted by 茂木賛 at 09:24 | Permalink | Comment(0) | 言葉について

山の本屋

2009年07月07日 [ 書店の力 ]@sanmotegiをフォローする

 以前「社会の力」のなかで、

(引用開始)

 特に「社会」の及ぼす力は重要だ。「心と脳と社会の関係」でみたように、社会とは自分と他人とを心的相互作用で結ぶ集合である。それは言葉だけでなく、振る舞いや姿勢、顔の表情などの身体運動、拍手や発声、身体を育む食、身体を守る衣服や家、自然の風景、場としての学校や職場、街並みなど、「身体」に係る全てのものが含まれる。勿論身体を規制するところの慣習、制度としての政治や法律なども含まれる。これら社会の有り様全てが、日々われわれ日本人の脳神経回路の組織化に寄与しているのである。

(引用終了)

と書いたけれど、最近、最良な形でこの「社会の力」を発揮している山の小さな本屋さんのことを読んだ。「すごい本屋!」井原万見子著(朝日新聞出版社)である。朝日新聞の書評欄から全文引用してみよう。

(引用開始)

「小さな村のコミュニティーセンター」

 この本を読むと、とても元気が出る。一言でいって、和歌山県の山の中で、小さな本屋さんが生き生きと頑張っている話なのである。村全体でも人口が2200人、近隣の集落はわずか100人ほどにすぎない。そんな小さな村で書店の経営が成り立つのかと不思議に思える。閉めかかった店を継いだ著者も、最初はとても不安に思っていた。
 そこから素人店長の奮戦が始まる。それを支えたのは、何よりも、店を必要とする地域の人びとのニーズである。ニーズは本だけに限らない。周囲の小売店がどこも廃業してしまうと、この本屋さんではみそや日常雑貨までも扱う。近所のおばあさんの生命線であり、コミュニティーセンターでもある。
 書店が成り立つ基盤は、本が好きな地元の人たちであり、子どもも大事な読書人である。そこで著者がイベントを次々と企画するのがすごい。学校での選書会、児童書の読み聞かせの会、絵本の下絵・原画の展覧会、絵本の編集者の講演会、ついには作者のサイン会まで。
 そんな企画は都会にしかないと思うのは大間違いで、編集者や製作者たちも、著者の熱意にほだされてしまうらしい。著者がドキドキしながら手紙を出したり電話をしたりして、次第に人脈を広げていく様子も心温まる。小杉泰(京都大学教授)

(引用終了)

いかがだろう。以前「ハブ(Hub)の役割」で、

(引用開始)

 多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術といった、安定成長時代の産業システムは、スモールワールド性がつくり出す「多様性」と「意外性」が発展の糧になる。だからハブの役割は、広く門戸を開き、公平性(次数相関「±0」)を心がけることで、数多くのリアルな「場」を作り出し、社会のスモールワールド性をより加速させることなのだ。

(引用終了)

と書いたけれど、インターネットを活用し、地域コミュニティーと都会との間を縦横に行き来しながら、自らの書店にリアルな「場」を次々と作り出しているこの「イハラ・ハートショップ」は、まさに「社会のハブ」としての役割を果たしている。

 書店というものは、社会に欠かすことの出来ない存在だ。ここでいう「書店」とは、「イハラ・ハートショップ」のような小さな本屋さんばかりではなく、都会の大きな書店、さらには出版業を含むところの、“書物という、人の思考道具である「言葉」を扱う生産活動”全般を指している。人は言葉で思考するから、そういう意味で、書店は社会の力の源泉である。書店は、「アートビジネス」とも隣接しながら、人の生産と消費活動を精神的に支える。書店はまた、社会における多様性と意外性を保証する「言論の自由」の守り手でもある。

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posted by 茂木賛 at 10:11 | Permalink | Comment(0) | 書店の力

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