夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


庭園について

2009年05月25日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 休日の朝、家内と犬の散歩をしたあと、一人で庭の草木に水を遣る。春先の庭は、さまざまな花が咲き乱れて美しい。

庭園について

 永井壮吉(号荷風)に関する本、“朝寝の荷風” 持田叙子著(人文書院)から引用しよう。

(引用開始)

 永井荷風の文学の一つの鍵は、庭であり、そこに咲き薫る花々である。今、もっぱら二十代から四十代にかけての彼の日記・小説・エッセイを読みすすめているところなのだが、そこにはなんと魅惑的な庭々が登場することか。しかもそれらはただ美しく光り輝き、彼になぐさめと癒しをもたらしているばかりではない。そこにはありありと荷風のひそかな慟哭や苦しみ悩みも刻み込まれ、樹々も花々も彼とともに息づく。
 親孝行は人間の原点、家を興し子孫をなすことが当然の明治の世において、自身の感情や完成を最優先し独身を貫く荷風は、ある意味で怪物(モンスター)だ。彼の庭の一面は、その怪物化を助長し、世間の既存の概念の侵入を防ぐ楯であり、城郭である。けれど現実にはその城郭の、なんと脆く儚いことか。荷風の日記には、樹々や花々で構成されるその楯があっけなく崩壊し、怪物の自分がひとりで巷に放り出される哀しみの涙もつづられている。
 これからそっと荷風の心の小径をたどり、彼が大切に育てる庭をのぞいてみたい。純白の花が咲き乱れ、樹々に風渡り蜜のように甘く匂うその秘密の花園で私たちは、少女のように無垢でたおやかな荷風に出逢うかもしれない。あるいは血まみれになって抗いもがく怪物の荷風に逢うかもしれない。とまれまず一歩、しずかに小径を踏み出そう。(後略)

(引用終了)
<同書67−68ページ>

 私も庭が好きだ。以前「里山ビジネス」のなかで、

(引用開始)

 たとえば庭園である。庭園は人が快適さを求めて作ったという面では都市の一部だが、花や樹木の生息という意味では自然の一部でもある。(後略)

(引用終了)

と書いたが、先回「楕円形と斜線分」で描いた図上、庭の属する領域を緑色で表してみると、

庭園の図

となる。「楕円形と斜線分」のなかで、

(引用開始)

基本的に「都市の働き」は左側、「自然の働き」は右側だが、楕円内部の斜線によって、「庭園」など都市の機能に組み込まれた自然の一部が「公(public)」の領域に属し(左上)、「廃墟」など自然に還った都市の一部が「私(private)」の領域に属している(右下)ことを現している。

(引用終了)

と書いたのはこのことを言葉で表現したものだ。庭園は、人々の「心の城郭」として、都市と自然との境界に存在している。

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posted by 茂木賛 at 10:32 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

楕円形と斜線分

2009年05月19日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 以前「公(public)と私(private)」の中で、

(引用開始)

「主格中心」の発想は、知識を蓄積する脳の働きを通して、社会的な「公」の性格を持つ。「環境中心」の発想は、身体の働きを通して、自然的な「私」の性格を持つ。勿論、脳の働きが全て「公」的なもので、「身体」の働きが全て「私」的なものだということではない。脳は、主な働きとして「公」的役割を担い、身体は、主な働きとして「私」的なものだということであるから念のため。「身体」のうちでも「顔」は社会における公的役割を担っているし、「脳」の働きでも「内省」は私的な役割を果たしている。

A R.P.−英語的発想−主格中心
a 脳の働き−「公(public)」

B P.T.−日本語的発想−環境中心
b 身体の働き−「私(private)」

(引用終了)

と書いたけれど、この構造を、楕円形と斜めの線分で下の図のように描くことが出来る。
脳と身体
中央の楕円内部は、個人の「脳と身体」を表している。中心線の左側は「公(public)」の領域、右側は「私(private)」の領域である。基本的に「脳の働き」は左側、「身体の働き」は右側だが、楕円内部の斜線によって、「顔」など身体でも公的役割を担っている部分が「公(public)」の領域に属し(左上)、脳の働きでも「内省」など私的な役割を果たしている部分が「私(private)」の領域に属している(右下)ことを現している。

 また、以前「集団の時間」で考察したように、社会集団において、個人の「脳」と対応するのは「都市」であり、個人の「身体」と対応するのは「自然」であるから、都市と自然の構造も、脳と身体同様、楕円形と斜めの線分で下の図のように描くことが出来る。
都市と自然
中央の楕円内部は、社会集団の「都市と自然」を表している。基本的に「都市の働き」は左側、「自然の働き」は右側だが、楕円内部の斜線によって、「庭園」など都市の機能に組み込まれた自然の一部が「公(public)」の領域に属し(左上)、「廃墟」など自然に還った都市の一部が「私(private)」の領域に属している(右下)ことを現している。

 個人と集団社会の構造をこのように図示することで、これまで「「公(public)と私(private)」「脳と身体」「集団の時間」などで論じてきたポイントが、把握しやすくなったのではないだろうか。

 二つの楕円の相互関係、斜線によって分けられた楕円形内部各領域の意味、全体の構図と時間論との繋がりなどについては、また項を改めて考えてみたい。

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posted by 茂木賛 at 15:46 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

サラサーテのことなど

2009年05月11日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 以前「エッジ・エフェクト」のなかで紹介したNHK-BSの「名曲探偵アマデウス」というシリーズ番組は、その後も、

サン・サーンス「動物の謝肉祭」
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
リヒャルト・シュトラウス「ティルオイゲンスピーゲルの愉快ないたずら」
シューベルト「さすらい人幻想曲」
ヴィヴァルディ「四季」
ショパン「英雄」
モーツァルト「交響曲第41番ジュピター」

と続き、先日はサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」だった。5123(ソドレミ)の魔術、ロマ音階、トリルとグリッサンドによる泣きの調べ、ハイポジションの多用、チャルダーシュのラッシューとフリッシュ、左手による高速のピッチカートなど、この曲の魅力が余すところなく紹介され楽しかった。

 その前のモーツァルト「交響曲第41番ジュピター」も面白かった。特に、第四楽章でジュピター音型(ドレファミ)が波のように重なり合い、変形され、最後に第一楽章から出来てくる5つのモチーフが、チェロ・ビオラ・バイオリン1・バイオリン2・コントラバスの五つの楽器で同時に奏でられるコーダの部分は美しい。モーツァルトはこれまでもよく聴いていたけれど、こうして解説を受けながらだと、作曲や演奏の技術的なことがよく分かる。

 ショパンの「英雄」は、ショパンが祖国ポーランドの独立を祈願しながら書いたというポロネーズで、最後にヘ短調から変イ長調に転調するところがミソ。ヴィヴァルディ「四季」は、多様な演奏が可能なバロックの名曲。シューベルト「さすらい人幻想曲」は、遠隔転調によるイ長調から変ホ長調への“突然光が差し込むような驚きの演出”がロマン派らしい、などなど、西洋近代音楽の薀蓄を知ることが出来る。天出臼夫と響カノンの二人も好調で、番組ごとに異なった多彩なゲストとの遣り取りも楽しい。興味のある方は、そのうち再放送があるだろうから、見逃さないようにしていただきたい。

 今回サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」の番組タイトルは“恋するアラフォー”とやらで、ゲスト・クライアント役には、テレビ朝日の「相棒」で亀山薫の妻美和子役だった鈴木砂羽さんが出演した。「相棒」シリーズの面白さの一端は多彩な脇役陣にあるのだが、先シリーズ途中で亀山が「特命係り」からいなくなり、鈴木さんの出番もなくなってしまったようで寂しい気がする。

 さて、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」に関して、作家内田栄造(号百閨jに“サラサーテの盤”という短編小説がある。私は、学生時代に“日本の文学34 内田百閨E牧野信一・稲垣足穂”(中央公論社)という文学全集シリーズでこれを読んだ。今回読み返してみたが、この短編はやはり「恐怖の名作」の名に相応しい。

 この作品を「恐怖の名作」と呼んだのは、同文学全集シリーズの編集委員でもあり、同書の解説を受け持った平岡公威(ペンネーム三島由紀夫)である。その解説から引用しよう。

(引用開始)

 もし現代、文章というものが生きているとしたら、ほんの数人の作家にそれを見るだけだが、随一の文章家ということになれば、内田百闔≠挙げなければならない。たとえば「磯辺の松」一遍を読んでも、洗煉の極み、ニュアンスの極、しかも少しも繊弱なところのない、墨痕鮮やかな文章のお手本に触れることができよう。(後略)

(引用終了)

 サラサーテを巡って名曲探偵から内田百閧ワで書いてきたが、私の手元にあるこの曲の入ったCDは、“ツィゴイネルワイゼン〜パッション 諏訪内晶子(ヴァイオリン)、ブタペスト祝祭管弦楽団、指揮:イヴァン・フィッシャー”(Philips)である。今度、新しく買った車の中でじっくりと聴いてみるとしよう。

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posted by 茂木賛 at 11:23 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

LONELY WOMAN

2009年05月05日 [ プレイリスト ]@sanmotegiをフォローする

 松任谷由美の新しいアルバム「そしてもう一度夢見るだろう」がリリースされたので、懐かしい彼女の荒井由美時代中心の曲とサザンオールスターズ(サザン)の曲を組み合わせて、プレイリストを作ってみた。ストーリーは、一途な女と遊び人男の恋の物語。桑田佳祐(クワタ)は、ユーミンの恋のお相手として遊び人男を演ずる一方、ストーリーテラーとして、A面とB面の最後をそれぞれ「LONELY WOMAN」と「BLUE HEAVEN」で締める。

<A面>
「やさしさに包まれたなら」
「神の島遥か国」
「守ってあげたい」
「愛する女性(ひと)とのすれ違い」
「あの日にかえりたい」
「LONELY WOMAN」

<B面>
「雨のステイション」
「夏をあきらめて」
「海を見ていた午後」
「Melody(メロディー)」
「翳りゆく部屋」
「BLUE HEAVEN」

以上12曲。「昔のレコードアルバムを模して、A面B面合わせて12曲」といういつものプレイリスト作成ルールに従った。

 <A面>最初の二曲は、二人の出会いから楽しい夏の沖縄の旅である。
「やさしさに包まれたなら」
「神の島遥か国」

しかし次の二曲に至って早くも遊び人男は一途な女を重荷に感じ始める。
「守ってあげたい」
「愛する女性(ひと)とのすれ違い」

彼女は都会の空を眺めながら男と出会った頃のことを懐かしむ。
「あの日にかえりたい」

<A面>の最後、クワタが女の気持ちを思い計って歌う。この曲は「Season’s Greetings」のプレイリストに入れなかったサザンのクリスマス・ソングの一つ。
「LONELY WOMAN」

<B面>に入っても、二人はすれ違いのままである。女は待ち続け、男は遊びに忙しい。季節は春から夏にかけて、場所は湘南の風情。
「雨のステイション」
「夏をあきらめて」

その後も事態は深刻化していく。夏が過ぎ秋が来る。
「海を見ていた午後」
「Melody(メロディー)」

四曲目ではじめて遊び人男は女の一途な気持ちに気付くが、時すでに遅し、五曲目に至りついに女は絶望して死を選んでしまう。
「翳りゆく部屋」

<B面>の最後は、クワタが亡き彼女を想って歌う。
「BLUE HEAVEN」

 いかがだろう。ユーミンの曲は、女性の自立心と、それに同居する危うい一途さを感じさせる。対するに、サザンの曲で男の気持ちと、全体のストーリーを表現した。タイトルは「LONELY WOMAN」。皆さんもこのプレイリストをiPODに入れて男女のドラマを楽しんで欲しい。参考までに、それぞれの曲が含まれるアルバム名を載せておこう(括弧内)。

<A面>
「やさしさに包まれたなら」(MISSLIM)
「神の島遥か国」(キラーストリート)
「守ってあげたい」(昨晩お会いしましょう)
「愛する女性(ひと)とのすれ違い」(KAMAKURA)
「あの日にかえりたい」(YUMING BRAND)
「LONELY WOMAN」(キラーストリート)

<B面>
「雨のステイション」(COBALT HOUR)
「夏をあきらめて」(NUDE MAN)
「海を見ていた午後」(MISSLIM)
「Melody(メロディー)」(KAMAKURA)
「翳りゆく部屋」(YUMING BRAND)
「BLUE HEAVEN」(さくら)

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posted by 茂木賛 at 13:52 | Permalink | Comment(0) | プレイリスト

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