夜間飛行

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暗号の手紙

2025年12月10日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 『秘密諜報員ベートーヴェン』古山和男著(新潮新書2010年)という興味深い本を読んだ。まず内容の概略を本の帯裏表紙から引用しよう。

(引用開始)

「わが不滅の恋人よ」と呼びかける、ベートーヴェンの熱烈な「ラヴレター」。宛名がないため、200年近くたった今でも、その相手は分かっていない。だが、ここに驚くべき仰天新説登場!この手紙はナポレオンのロシア遠征にからむ「暗号密書」だった!?「闘う男」ベートーヴェンの真の姿を描き出す壮大な歴史絵巻、ここに開幕!

(引用終了)

本書の章立ては次の通り。
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第一章 <不滅の恋人>への手紙とは
第二章 ナポレオンの大陸制度
第三章 ベートーヴェンとブレンターノ家の人々
第四章 一八一二年七月、テプリッツ
第五章 「手紙」の再検証
第六章 大崩壊
第七章 <不滅の恋人>の去ったヨーロッパ
第八章 結論
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 古山氏の主張は、この手紙は恋文を装った密書であり、反ナポレオン陣営(=守旧派)のエステルハージの動向を、改革派の親友フランツ・ブレンターノに伝えるために書かれたとするもの。ベートーヴェンは改革派に与していた。手紙はナポレオンがロシア遠征に出た時期、1812年7月にボヘミアのテプリッツで書かれた。恋文を装って情報を伝えたのは、当時のオーストリア帝国では秘密警察が手紙を検閲していたから。「不滅の恋人」とは「自由」の暗喩ではないか。

 フランス革命からナポレオン支配のこの時期、大陸では守旧派の貴族と改革派の実業家たちが権力のつばぜり合いを演じていた。ナポレオンの大陸封鎖(イギリス締め出し)が成功すれば実業家たちに有利、ナポレオンが失脚すれば貴族たちが復権する、という緊迫した状況下で手紙は書かれた。

 封鎖を搔い潜ってイギリスと密貿易を重ねるロシアに遠征したナポレオンが敗退すると、守旧派が大陸の権力を握る(1814-1815年のウイーン会議)。その後、ベートーヴェンはウイーンで長く幽閉状態に置かれた。かの交響曲第九番が発表されたのは守旧派の力が弱まったおよそ10年後の1824年。テーマは改革派が追い求めた不滅の恋人=自由。

 古山氏の主張はおよそこのようなものだが、本書はベートーヴェンの後援者・支持者たち(=改革派)と反ナポレオン陣営(=守旧派)の動向が詳細に描かれており、当時の歴史の勉強にもなった(ベートーヴェンをめぐる女性たちについても)。興味を持った方は是非本書をお読み戴きたい。

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posted by 茂木賛 at 13:40 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

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