夜間飛行

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鳥瞰的な視野の大切さ

2016年12月06日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「物事の繋がりの重要性」の項で引用した『電車をデザインする仕事』水戸岡鋭治著(新潮文庫)の文章に、「それ(物事の繋がりの重要性)を理解するには、先ほど述べた鳥瞰という視点が大切です。(中略)鳥瞰的な視野で総合的に物事を進めることができれば、創造的な人間が増えていく土壌が生まれます。それが、バランスの良い社会をつくりだすのです」という部分があった(括弧内引用者)。今回はこの「鳥瞰的な視野の大切さ」について敷衍してみたい。

 まず『電車をデザインする仕事』から「鳥瞰的な視野の大切さ」について書かれた部分を引用しよう。

(引用開始)

 ヨーロッパでは政治によって文化や都市がデザインされるといわれているのですが、それに比べると日本のデザインは非常に表面的で狭いものに限定されます。その意識の違いがデザインの幅の違いに関わってきます。
 この「全体を見渡す」とは鳥瞰(ちょうかん)の視点、つまり広い視野で見る、考えるということです。多角的に大きな観点で全体を見渡すことによって「正しいデザイン」のガイドラインが描けるようになるのです。
 さらに付け加えれば、デザインにおいてこの鳥瞰という言葉のなかには「パブリック・デザイン」という意味があります。このパブリック・デザインの対極にあるのがプライベート・デザインで、自分自身のデザインを自分のやりたいように進めていっても誰からも文句を言われません。ところが、パブリック・デザインとなると公共デザインなので、多くの人が集まって生活をする公共空間を鳥瞰することが必要不可欠になるのです。

(引用終了)
<同書 23−24ページ>

 このブログで提唱している複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

に引き寄せて言えば、「鳥瞰」とは空間重視でありAの視点である。「パブリック・デザイン」もAの視点だ。

 「物事の繋がりの重要性」はB側で、21世紀は世界的にこちら側が強まるだろうというのがモノコト・シフトの見立てだが、複眼主義ではAとBのバランスを大切に考える。日本人(日本語的発想)はもともとBの側に偏っているから、それを知る水戸岡氏は、ここで敢てAの大切さを強調しておられるのだろう。

 ちなみにモノコト・シフトとは、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」の略で、二十世紀の大量生産システムと人の過剰な財欲(greed)による「行き過ぎた資本主義」への反省として、また、科学の還元主義的思考による「モノ信仰」の行き詰まりに対する新しい枠組みとして生まれた、(動きの見えないモノよりも)動きのあるコトを大切にする生き方、考え方への関心の高まりを指す。

モノコト・シフトの研究
モノコト・シフトの研究 II
モノコト・シフトの研究 III
モノコト・シフトの研究 IV

 話は変わるが、ここで、モノコト・シフトの観点から、先の米大統領選挙の結果を説明してみたい。選挙旋風(という「コト」)の一部が、モノコト・シフトでいうBの「イベントへの熱狂」であることは間違いない。動きのある「コト」はBと親和性が強い。その線上でBの女性性を代表するヒラリー氏が選ばれてもおかしくなかったが、(1)ヒラリーが「行き過ぎた資本主義」のインサイダーと見做されたこと(メール問題やクリントン財団など)、(2)アメリカ人(英語的発想)はもともとA側に偏っていること、(3)国民の大半は(熱狂はしても)greedが操るマスコミのプロパガンダに乗らなかったこと、(4)stateの統治はそもそもA側領域の仕事であること、などの理由によって、Aの男性性の代表トランプ氏が選ばれることとなった。

 これからアメリカのB側志向(モノコト・シフト)は、政治を離れてビジネス領域で花開くのではないか。「行き過ぎた資本主義」ではない地方発の起業、「コト」を支えるインフラ整備、スポーツ・イベントやアートビジネスなどなど。一方、トランプ大統領はビジネスライクにA側の仕事をこなしてゆくことだろう。そのとき日本のアメリカとの政治交渉は、B側に偏った日本的発想の政治家たちでは歯が立たない。水戸岡氏のような、A側の大切さが解り尚且つBの重要性に気付いている人が、日本stateに必要となってくるに違いない。

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posted by 茂木賛 at 10:38 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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