Q:「コモンセンス外の言動」の続きでお伺いします。最近皇室典範の改変がありました。養子による男性天皇もありということで驚きましたが、国民の多くは愛子さまを天皇にと思っているとも言われていて、そちらの方がコモンセンス(社会生活上誰もが知っている共通の認識、思慮、分別、良識など倫理的な事柄)的なように感じますがいかがでしょう?
A:「天皇制憲法の顕教と密教」の項で昭和憲法について、
@「顕教」:象徴君主(天皇は国民統合の象徴)
A「密教」:GHQ(米国)による天皇制の制限
(1)「密教内の顕教」:Aを受け入れながら議会による政党政治を行う
(2)「密教内の密教」(表):天皇の意を汲んで物事を調整
(3)「密教内の密教」(裏):@を利用して自分たちの権勢を伸ばす
という構図を掲げ、密教、特にAの(3)の危険性を指摘しましたが、今回の政府の動きはどうもAの(3)のようですね。天皇の意を汲まず議会での審議も最小限に抑え養子を送り込むschemeを成立させる。明治憲法の、
@「顕教」:絶対君主(国民は天皇の赤子)
A「密教」:天皇機関説
(1)「密教内の顕教」:@を建て前としながらも議会による政党政治を育てる
(2)「密教内の密教」(表):天皇の意を汲んで物事を差配
(3)「密教内の密教」(裏):@を隠れ蓑として自分たちの権勢を伸ばす
におけるAの(3)の動きと似ています。違うのは、「顕教」が違うことと、明治憲法下ではAの(2)がAの(3)に迎合したけれど、昭和憲法下では今のところそうでもないところかな。
Q:やはりコモンセンス外の言動であると?
A:この件はそう思います。
Q:コモンセンス外の言動の要因としては、
<1>三つの宿痾(greed、官僚主義、認知の歪み)
<2>AとBのバランス(複眼主義でいうA側もしくはB側への過度の偏重)
<3>社会的拘束(脅迫、借金、主従関係・契約関係)
ということでしたが、今回の政府や党の動きはどれに当るでしょうか?
A:主に<1>と<3>でしょうね。主導的役割を果たしたのは<1>、国会で成立させた議員の多くは<3>かな。
Q:<2>はあまり関係なかった?
A:日本人の多くはB側へ傾いていますから、今年の選挙で初の女性首相を成立させました。でも国会や党の動きはまた違いますからね。多くの国民は圧倒的な支持を受けて就任した初の女性首相が、女性天皇を否定するとは思わなかったんじゃないかな。
Q:野党がだらしないからこういう事態になったという人もいますね。
A:確かに。今の天皇家以外の人がでてくると、拒絶反応が起こって制度自体が続かなくなるかもしれませんね。
Q:今上天皇がラストエンペラーということになりかねない?
A:私が「プライムアーティストとしての天皇」を提唱するのは、(明治憲法と違って)主権在民の昭和憲法は政府を縛るためのものだから、そこで天皇家のことをあれこれ規定するのはお門違いだということ。GHQ(米国)が天皇を憲法に残したのは、敗戦国を統治するための方便として利用したかったから。だからこまかい規定には関心がなかった。退位の規定もなかったですからね。
Q:退位は平成天皇が望まれたので慌てて特例法で逃げたんですよね。
A:そう、あのときお言葉にあったように象徴天皇とは何かについて国民が真摯に考えていれば、天皇を利用して権勢をのばそうとする奸臣は湧いてこなかったかも。
Q:そうはいっても憲法を変えるのは難しい?
A:「顕教」の中だけで考えていても問題は解決しないということです。いまからステップを踏んで長期戦でいけばいいんですよ。方向が決まればあとは実現手順の問題だけですから。






